第15話 地獄の王
「ここは、地獄じゃ」
歩きながら、説明を聞く。
「「「地獄!?」」」
ここに来る前、言ってたよね。
「そうじゃ、昔来たことあるからわかるのじゃ」
「どうして地獄に行ったことあるの?」
「それは、前の勇者が……」
「あら、御客人とは珍しいわね」
おや、こんなところで誰かに出会った。
「あ、お姉ちゃん!」
「あらあら、誰かと思えばかわいい
「この人が……」
「お姉ちゃん?」
魔王ちゃんとは違ってスレンダーな体型。顔は美人かな。例えるならば、楊貴妃のような妖艶さがある。
「妹よ、かの者達は?」
「私の友人じゃ!」
「そうか、妹の友か」
手に持った扇子を口元でパタパタさせながら、見定めている。
「して、なぜここへ?」
「なぜって……」
「地獄の門が開いていたのじゃ」
「それは誠か?」
眉をひそめる。
「うむ」
「なぜそんなことが起こ……」
「ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!」
「うおっ!」
「きゃあ!」
大地が激しく揺れた。
地震か?
「この地で地震とは、いと珍しきこと」
姿勢を崩さず、至って冷静に告げる。
「お姉ちゃん、もしかして」
「なんぞ、妹よ」
「これって、地獄の住人の反乱かもしれないのじゃ」
反乱?
「ほう、なぜそう考える?」
「さっき、門の近くで出会ったからじゃ」
「あらあら、思っていたより大変なことになっているわね」
「ちょっといいか、ふたりとも!」
「反乱って?」
話においていかれている夫婦が食らいつく。
「この地は生前悪行を働いた者が集まります。しかし、かの者たちは私の目を盗み、脱走を企てるのです」
「脱走!?」
そんな奴らが出てきちゃヤバいんじゃ!?
「幸い、地獄の門は固く閉ざされており、逃げることはできません」
そうか、それなら……。
「でも、それが今開いてるんでしょう?」
「そうじゃな……」
やっぱりヤバいじゃん!
「もう脱走しておるかもしれぬな」
「まずいな、すごくまずい!」
「おい、戻るぞみんな!」
佐藤達は門に急いで帰る。
そして、もと来た洞窟へと帰る。
「要はこの門を閉めればいいんだろ?」
門の前で、佐藤がそう尋ねた。
「門が閉まら……」
「ダメなのじゃ!」
なぜか魔王はそれを制す。
「魔王ちゃん、どうしたんだ?」
「……う〜ん」
魔王は悩んでいる。
一体なにを決めかねているんだ?
そんなときだ。
「ドッゴォォォン!!!」
洞窟の外から、爆発音が聞こえた。
「ちょっと行ってくる!」
「お前達は残ってろ!」
佐藤は外に走っていった。
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