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 無理やり外に連れ出される度に表面上は嫌そうな態度をとっていたけれど、内心は嫌ではなかった。内気な僕は友達を自分から誘うような事は出来ず、友達に誘われる事もほとんど無かったので、彼女が誘ってくれるのが嬉しかった。


 僕が十七歳になった今でも続いてるのはどうかと思っている。


「だ、か、ら、リアクションが薄い。女の子にデートに誘われているんだよ。もっと嬉しそうにしなよ」


 不満そうに言いながら、彼女は僕の腕を掴み引っ張る。僕は気だるいながらも体に力を入れて、ベッドの横に立ち上がった。


 二人並んで立つと、僕の方が身長が高く、彼女を少し見下ろす形になる。昔は彼女の方が身長が高くて、少し見下ろされていた。女子に見下ろされているのは格好悪い気がして、いつかは追い抜いてやると思っていた。


 いつの間にか僕の身長は、彼女のそれを追い抜いていて、僕が見下ろす形になっていた。


「その格好で良いの?」


 僕が尋ねると「うん? 何かおかしい?」と首を傾げた。


 彼女は何を疑問に思われているのかすら分からないといった表情で自分の服装を見た。


 彼女の服装は白の半袖のカッターシャツ。胸元には赤と黒の細かいチェック柄のリボン。灰色と黒の細かいチェック柄のスカート。僕の通っていた中学校指定の女子の夏服だ。


「気にならないなら良いよ」


 ミイが気にならないならそれで良い。


 どうでも良い。


 開け放しにになっている窓から、秋の夜の、冷たい乾いた風が吹き込んでくる。


 僕は木製のスタンドに掛けられた、茶色の地味なコートを羽織った。


「さ、行こう」


 言いながら彼女は力一杯僕の腕を引き、窓の方へと向かう。


「ちょっと待って。僕の靴は玄関にあるんだ」


 言われて気がついたらしく、彼女はパッと僕の腕を離し、恥ずかしそうにぎこちなく微笑んだ。


「ご、ごめんごめん。そうだよね。玄関から出なくちゃダメだよね。……違うよ。りーくんと出かけるのが楽しみで、気が逸ったとかじゃないからね。勘違いしちゃダメだよ」


 照れ隠しなのか、彼女は早口に一息で言った。

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