ep02*


「んんん…。頭いった。」


太陽の光で目が覚めた。

ふと時計を観ると朝の7時前。


「やば、遅刻っっ」


急いで支度し、バス停まで走る。

何とか間に合ったバスに乗り、揺られること20分。最寄駅に着き今度は電車に乗り換える。

最寄駅から2駅だけ乗る。そしていつものカフェでカフェラテを頼んで出社する。


というのが私のいつもの通勤ルーティンだが、今日はギリギリのためカフェには寄らなかった。


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「おはようござまーす」


タイムカードを押して、ギリギリ遅刻は免れた。

が、お局が今日もうるさかった。


「何時だと思ってんの?そんな厚化粧してるから遅刻ギリギリなんじゃないの?」


いつもお局のよく分からない説教から私の朝は始まる。

適当に流し、業務を淡々とこなす。


ちなみに私、厚化粧などは全くしてないけどな。

お局の方がよっぽど厚化粧だと思うけど。


など、たまに心のモヤモヤを考えながら業務をこなした。

事務員歴はかれこれ5年になった。事務員として働いてはいるが、歯科衛生士の夢を諦めきれず、専門学校に夜間で入学しようとコツコツとお金を貯めていた。


学生の頃から歯科衛生士になりたかったが、進路の先生から


『あなたは看護師さんの方が似合ってるから〜』


と、看護学校の推薦を勧めら、進学する気が失せてしまい就職した。


でもまあ別に後悔はしていない。

学校は大人になってもいけるのだから、諦めきれなかったら行けばいいという想いから決断した。


『ちょっと!吉木さん!ぼーっとしてんじゃないわよ。吉木さんにお客さんだから早く対応しなさいよ』


ぼーっとなんかしていないのに、こんなことを言われイラっとしたが和やかにお局にお礼をいい、来客対応をしに応接室へと足を運んだ。


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応接室へ入ると見知らぬ人が居た。


「お待たせしてしまい申し訳ございません。私が吉木ですが…」


名刺を名刺入れからスッと取り出し、挨拶をしながら相手に渡す。


その相手は若い感じのスーツを着た爽やかなお兄さんだった。

お兄さんも胸ポケットから名刺入れを取り出し、名刺を差し出す。


受け取った名刺に目をやる。


「東 秀人…」


アズマヒデトと書かれた名刺と本人を交互に見る。

…全く身に覚えがない。

私はわりと記憶力もいい方だし、対応したお客さんなら顔と名前を覚えているはずなんだけど、全く分からない。

道であった人?え、誰?私何か身分を証明するものでも道に落とした?それを拾ってくれた人?


1人プチパニックになりながら考える。


「あの、すいません。時間がないものでして…簡単に尋ねた理由を述べます。仕事を終えたらこの住所に向かってください。ではそれだけです。記載された住所に着いたら詳細をお話しいたしますので、では後ほど…」


そういい、東秀人は私に会釈し、会社を後にした。

私は1人状況が把握できずにただただ応接室で立ち去る東秀人を見つめた。

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