第六世界 架空
ネズミだ。ネズミがいた。いや、なんか人型にも見える。ネズミ男か?なんかトゲトゲしたものを背負って。アレか!ハリネズミの類だ。きっと、たぶん、いや見たことないけど。
摩訶不思議な世界だ。黒を基調として、あちこちが虹色に光り輝く。光が転がったり、波打ったり、点滅したり、どこか幻想的な様で、しばらくしたら目が疲れそうな……まぁ、そんな世界。
そこに彼はいた。
「やぁ、初めましtかな。」
「君は……えーと……なに?なにせいぶつ?」
ネズミ男は陽気に話し掛けてくるが、状況の理解が追い付かない。彼が何者なのか、ここはどこか、さっきの闇は、ソロは——
「あ、そうだ!ソロ!大丈夫か?」
「生きてるでしょ。搾りカスか落とした破片か知らないけど、ソイツはそんな簡単に死なないよ」
ソロの容体は酷かった。右腕が真っ黒に変色している。多重に絡まった呪いがこびりついている。対象の肉体を侵食するタイプのモノもある。あの領域を脱したからか、かなりゆっくりだが侵食は止まらない。
「そんなことよりさ、大事な話があるんだよ」
「そんなことって何だ!ソロは私を護ってくれた。それでこんな状態なのに!」
激昂してもネズミ男は平静な表情だった。慌てたネズミの顔なんて知らないけど、たぶん慌ててはいない。
「一人しょu変わってるね。記憶が戻ったのかな?それともごちゃ混ぜの状態か。彼の容体も正確に把握しているようだし。まぁ、そう遠くない未来、キミは自bんを取り戻せるよ」
そういえば、私はなぜソロの容体が分かるのか。知らないはずの知識がある。あまりにも自然に答えが得られたから違和感を覚える暇がなかった。
「君は、私を知っているのか」
その問いにネズミ男は頭をかく。
「知っているし、知らない」
「どういうこと?」
「両方さ。ボクはキミの名前も過去も知っているけど、それが今のキミのことかは分からない。決まっていないことだ。まだ観ていないからね」
こいつ何を言っているんだ。訳が分からない。
「見るって、誰が?」
「キミだよ。キミが観るんだ。何やらどうにか出来ないかと考えていたようだけど、無駄だよ。ボクらはこの最悪の事件に関われない。直接的な干渉は出来ない。ただ観ることしか出来ない」
だからさ、と彼は続ける。気付けば、彼の話に耳を傾けていた。
「ボクとキミでありeない未来を作ろう.coの旅路の果てに、本来辿り着けない筈の未来への奇跡を起こすんだ」
――――は?
「ミライヘノキセキ……?」
「あーいいね、それ。キーワードは決mったな」
ネズミ男はニヤリと笑う。それは楽しそうな展開にワクワクしているような無邪気な笑みだった。それはそれとして、気になることがまだいくつかある。
「君の話が正しいなら僕は何も出来ないんだろ?」
何をしようとしているのか。それが全く見えない。彼の話通りなら私は何をしても意味がないということになる。なのに奇跡を起こせると言う。
「ククク/cん配しなくていい。実haキミが旅を始めた時てnnで、凍結していた時と繰り返された停滞は動き出した。世界は今も変わろうとしている。運命の修正力を逆手に取ったんだ。キミやってることeげつないよ。でも、それがいい。いや、そlでいい。だこらこそ、満を持して、ボクらは出会えた。まぁ、ちょっとヤバかったけど/」
そう、もう一つ気になること。あの闇だ。
「アレは何者なんだ」
「僕にも分からないな。でも、そのUC解ると思うよ。今じゃないだけさ、焦ることはない。順番に行こう」
「順番?さっきの、ミライヘノキセキのことか?」
うんうんと頭を縦に振りながら彼は語り始めた。
「その通り!ボクからお願いが2つある。これらを達成しないとキミの旅が無駄になりかねない。確実な手段を採用する」
そう言って彼はウインクした。した?毛深くて分かりにくい。もしかしたら初めて会った時の変顔もウインクしようとしていたのか?
「1つ目、キミは決着をつけなければならない。なんのこと、なんて詰まらないこと聞くなよ。キミが一番わかっている筈だ」
「そうだね。それは避けられない。お願いされるまでもないよ。それで、もう一つは?」
当然のことだ。いつからそう思っていたのか分からないほど自然と、次にやるべきことが頭に浮かんでいた。
「2つ目、このまま旅を続けてほしい。その先に、キミはきっとキミにしか出来ないことに気が付く筈だ。そうしたら、旅の果てにキミが成すべきことをしてくれ」
あれ、それって。
「オッケー3つね」
3つあるよな。
「その言い方止めて!ゴホン、とにかく、キミの旅の果てはボクにも分からない。何らかの奇跡を起こすかもしれないし、何も起きないかもしれない。やろうとしても力足らず挫折するかもしれない。やるかどうかもキミ次第だ。だからボクからは旅を続けてほしい、とだけお願いする」
今までの説明を話し半分に聞きなから自分の中に咀嚼し、考える。命の恩人ではあるが、やはり、意味不明生物過ぎて信用しきれない。話も長い。となればーー
「じゃあその時が来たら、またネズミ君に会いに来るよ」
結論は後回し。この手に限る。
「あぁ、それがいいかもしれないね。楽しみに待っている。安心してくれ、キミの答えが何であれ、問題なく対応できるよう準備しておこう」
あぁ、それと。と、前置きをして、息を深く吸って彼は続けた。
「最後に大切なことを伝えておく。ボクは!ネズミじゃ!ない!!!獣人たるボクは——」
ネズミ君の言葉は最後まで続かず、ノイズ混じりのその声はブツリと、切れた。転移が始まったのか。最後まで聞けなかったけど、まぁ彼が何の動物かはそんなに重要ではないし。あー、名前くらい聞いておくべきだったかな。まぁ今はそんなことより、やることがある。
——さて、決着をつけに行くか。
「行っちゃった。それで、どうよ彼」
死角になる暗がりで会話を聞いていた青年に話しかける。
「いいんじゃない?それじゃあ僕もそろそろ行くよ。じゃあなネズミ野郎」
本当にムカつく奴だ。
「そっか。じゃあはい、これ僕の住所ネ。時が来るまで覗いてはいけませんヨ」
鶴じゃないんだから、と小言を呟きながら紙切れを見る。
『f9d_TSFvSfdeMKIESzokmA』
「いや、読めねぇし!中途半端だし!日本語で書けや!って、もういねぇし……」
青年はため息を溢しながら、誰もいない空間に一人呟く。
「我々はいつの日か再び会うことになるだろう」
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