☆3600突破感謝記念SS さすらいのギャンブラー(笑)

オズワールドファンタジーで勇者勢力に所属して、ただ強くなるために邁進するのにも疲れてきた頃。

フレンドのログイン待ちの時間潰しの為にふらっと入ったカジノ。


これが俺のその後のオズワールドファンタジーライフを狂わせた。


出た――――――。


めっちゃ出た――――――。


まだ出る――――――?


この時の興奮を、この感動を、忘れられずに俺はレベル上げもそこそこにカジノに入り浸る。

レベル上げで稼いだ金はほとんどカジノに消えた。

カジノ正面にデカデカと飾られている看板の金になっているのかもしれない。



ステータスの〖運〗が良いほどカジノで儲けられるらしい。

けど幾ら〖運〗が良くたって、クリティカル率、状態異常付与率・回避率、アイテム作成の成功率、レアアイテムのドロップ率等が良くなるだけ。

しかも〖運〗を上昇させることによって得られる恩恵はイマイチ実感し難い程度。



――――――そのはずだったんだ!!



「オイ見ろよあのNPC、めちゃくちゃ出してるぞ!?」

「あぁ。さっきからずっとあの調子で出続けてる。台の確認をした店員も首をひねってたぞ?」

「何かのイベントの布石か?」


その日もカジノに来た俺は信じられないものを見た。

見たことない美少女がスロットを打っていた。

まぁそれは良い、問題はスロットから吐き出されるコインの量がおかしいんだ。

俺がハマるきっかけとなった時なんて足元にも及ばないくらいにコインの排出が止まらない。

しかも打ってる美少女は歴戦の猛者を思わせる風格を纏わせてスロットを回し続けていた。


周囲の者たちを気にする素振りも無く、彼女は溜息を吐いてスロットの前から立ち退く。

そして俺の隣を通り過ぎる時に聞こえてきた言葉が、更に俺を混乱させた。


「………ヌルゲーだわ」


このカジノに集う者たちがどれだけ願っても手が届かないであろうコインを積み上げておきながら!!

彼女はそれを何も特別な事とは認識せず!!


ヌルゲーだと言ったのだ!!


当然先ほどまで彼女が座っていた台に群がるハイエナたちだったが、さっきまでの光景が嘘のように普段通りの挙動を繰り返すだけだった。
















「オハナさん、こんな所で何してたんスか?」

「うん?ちょっとした実験をね。〖運〗が良ければカジノが当たりやすくなるって話を聞いてホントかな?って思って」

「それで?――――――出たんスか?」

「………途中からただの作業になって退屈するくらいにはね?」

「ギャンブル依存症たちが発狂しそうなセリフっスね」


「………行く先々にあるカジノ、潰して回るのも面白そうかも」




それから間もなく、


『カジノに度々現れる美少女NPCにギャンブルで勝てば何かが起こるんじゃないか?』


という噂が出回る事となった。

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