☆2000突破感謝記念SS 二個目の砦(前編)
コテツさんたちの一件ですっかり忘れてたけど、アウグスタから今まで攻めてた〖砦〗を攻めても良いよって言われていたのを思い出した。
別にあの人の許可なんて要らないんだけど、あとで文句を言われるのも気分が悪いから必要なやりとりだったのかもしれない。
まぁとにかく、そんな訳で――――――。
「う~ん。絶好の〖砦攻め〗日和だね~♪」
大きく伸びをしたオハナ、見つめる視線の先には前と違う〖砦〗の姿。
アウグスタから聞いて居た件の〖砦〗、その専用フィールドにてオハナダンジョンメンバー全員が揃っていた。
オハナ一人で攻めるのも楽しかったんだけど、今回はコテツさん、ワヲさん、ホタルちゃん、プリムさんたちにも経験してもらおうとダンジョンを臨時休業にして総出で来ていた。
「ふわぁ~…………大きいですね」
ホタルちゃんが〖砦〗を見て、感嘆の声を上げる。
規模としては此処を含めた三つとも雷鋼の砦と同じ大きさかな?
でもあの時よりも幾分砦そのものの装備が強化されてるように見える。
きっとアウグスタからの侵攻を防ぐために色々と強化したに違いない。
「此処は〖世界大戦〗で第二位だった人――――――パナっぺさんの砦っすね」
この中でオハナ以外に砦攻めの経験のあるカナきちが色々と説明してくれる。
今は1号と2号と5号しか出てないけれど、その三人も興味津々でカナきちの話を聞いて居た。
「それにしても…………………」
ワヲさんがちらりとオハナたちの後方に身体を向ける。
そこにはオハナたち以外の魔物プレイヤーさんたちが集まって来ていて、此方の様子を窺っていた。
あの人たちはオハナたちが〖砦攻め〗のイベントを行うための施設に入った時からじろじろと見て来て、挙句の果てについてきた人たちだった。
「勝ち馬に乗ろうって魂胆が透けて見えるわい」
コテツさんが不快感を示す。
「まぁまぁ、良いじゃないですか。例え寄生されたって砦攻めの報酬はどれだけ〖砦〗に対し損害を与えられたかによって違う訳ですし、あの人たちに手柄を横取りされてしまう程皆さん弱くはないんですから」
今回の砦攻めはオハナは極力参加はしないつもりだ。
一応幾らか援護くらいはするけどね?
最初に言ったけど、経験を積むのが目的だから。
だけど皆ならば問題無く陥落出来るんじゃないかな?って思ってる。
砦に居るプレイヤーさんたちもオハナたちに当然気付いてるみたいで、慌ただしく動き回っているのが見えた。
今頃必死で〖毒〗と〖即死〗への対策をとってるのかな?
けど残念、今回はあまりその対策意味ないかも。
「それじゃあオハナダンジョンの皆での〖砦攻め〗、開始の花火を派手に自分のダークフォースで――――――」
「最初はどうやってアレに張り付くか、じゃが……………」
「私と2号ちゃんで盾に成れば皆近付けないかしら?」
「で、でも魔法で攻撃されたら…………」
「それなら私が後ろから回復しますので……………」
こういう時恒例になりつつあるカナきちの言葉にももう皆慣れたみたいで、作戦会議を始めていた。
「何で皆無視するっすか!?いぢめっすか!?」
「だってカナきちはまだダークフォース撃った後、MPが回復するまで只の置物になるじゃない」
魔法攻撃主体のカナきちはMPが無ければ攻撃する手段が無くなるから、他に何も出来なくて直接物理攻撃しても殆ど相手にダメージを与えられないんだもの。
ダークフォースの威力は申し分ないんだけどね?
その後のカナきちの皆への魔法攻撃の援護を捨ててまで――――――?って言われると、我慢して?としか言えないわ。
MPの消費で言うならホタルちゃんのビームも相当だけど、ホタルちゃんの場合〖気配遮断〗で偵察とかも出来るから、ホタルちゃんのビームで櫓と壁の上を薙ぎ払ってもらうのもアリだと思うけどね。
カナきちをバッサリと斬り捨てた処で、ホタルちゃんからの伺うような視線に気が付いたオハナは「どうかしたの?」と同じように視線を投げかけて見た。
「いえ、あの………オハナさんだったらどう攻めるのかな?って――――――」
オハナだったら?
そうねぇ………眷属が全員参加してる今なら、まずは眷属全員を砦の中に撃ち込むかなぁ。
正直それで終わりそうな気もするけど、念のためオハナもあの子たちの対処に追われてる間に砦に接近して、前の時みたく壁を登って砦内部に入るっていうのが理想かな?
まぁ向こうにどれくらいの強さのプレイヤーさんが居るのかもわからないから、全部理想論でしかないんだけどね?
だからオハナと眷属たちだけで完結するんじゃなくて、さっき思っていたホタルちゃんのビームで薙ぎ払う方法を提案してみた。
砦全体は無理でも、攻め込もうとしている正面の壁と櫓は破壊できると思うの。
「壁と櫓が崩れたらそこに3、4、6、7号を設置するつもりだから、あとは3号と4号が主になって攪乱してくれるだろうし、皆が攻め込む時間くらいは稼げるんじゃない?」
「オハナさんが援護だけでも頼もし過ぎる件」
「それなーっす」
何?何か文句でも?
実際攻め込むのはプリムさんとカナきちもなんだから、頼もしいに越したことないじゃないの。
こうしてオハナたちダンジョンメンバーは、砦を攻め込むために行動を開始したのだった。
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