☆1400突破感謝記念SS もしもの眷属ズ
※時は、オハナが〖ログアウト〗して、ダンジョンをサンガが休止している最中だとお考え下さい。
オハナ眷属たちが話せたとして、それらがもしも女の子たちだったら………?というお話になります。
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オハナダンジョンの防衛の一翼を担っている眷属たち、彼女たちは今束の間の休息をとっていた。
眷属たち同士の仲は決して悪くはない、だがしかしこの時は様子が違っていた。
「オハナ様からリーダーを任せてもらっているのは私だ!」
「アタシだってオハナ様の盾として、頼りにしてもらってるよ!」
「オハナ様に一番ナデナデしてもらってるのは私…………よ?」
オハナの最初からの眷属である1号、2号、3号がそれぞれいがみ合っている。
その様子を4号が冷ややかに、5号がビクビクしながらも怖がっている6号と7号を庇う様に抱き抱えて観ていた。
きっかけは本当に些細なものだった。
話の流れから「誰がオハナにとっての一番の眷属か」という話になり、初めこそそれぞれがさりげなく自分だと主張する程度のものだったのだが、結果として徐々にその熱は止まる事を知らず、4号、5号、6号、7号を置き去りにした三人が今のような状況に陥っていた。
「私がリーダーで、数字の「1」なのだから私こそがオハナ様の一番眷属だ!!異論は認めん!!」
眷属たちのまとめ役を自負する1号。
確かにオハナの初期からの眷属の一人であり、その鈍足デバフはオハナの頼りとする処、ここ最近コテツの指導によってメキメキと近接戦闘の技量が向上している。
「そんなのオハナ様に最初に呼ばれたのが1号だっただけだろ!アタシならいつでもオハナ様の盾になって守ることが出来る!」
眷属たちの中でも姉御肌な2号。
1号と共に長くオハナの眷属をしている2号、進化した種族の特性を生かしてオハナ眷属の中で盾役として不動の地位を築いているのも確かだった。
「………進化した種族の特性上、それは仕方のない事…………よ。だけどそれを言えば、私は唯一………オハナ様と同じ進化の道筋を歩んでる………わ」
眷属たちの中で最もオハナに全力な3号。
オハナ以外の事には基本無関心、気だるげなその話し方からは想像もつかない激情を秘めている。
オハナ不在時に暴れたのもその一端だった。
「それは3号が頑なにオハナ様と同じ進化が良いと駄々をこねたからだろう」
「アタシたちがオハナ様の意向に背くような事しちゃダメだろ?あの時のオハナ様、かなり困ってたぞ?」
「……………だって、オハナ様と一緒が良かった…………もの」
拗ねる様にして言った3号から不穏な気配を感じ、1号と2号はそれ以上の言及を止める。
だがしかし、
「3号姉様のその我儘のせいで次の私の進化先が最早決まってしまいましたが、それについて私は3号姉様から何も謝罪されておりませんよ?」
「ちょっ――――――!4号ちゃん!?今は黙っておくでありマスヨ!!」
全く場の空気を読まず、寧ろ凍てつかせるような発言をした4号。
それを窘める様に5号が「しーっ!」とジェスチャーをしながら発言する。
実はちょっと自分の影の薄さを気にしている4号、個性豊かな姉妹たちの中でその存在をオハナに忘れられないように地味ではあるが堅実をモットーにダンジョン内で活動していた。
その働きをオハナはしっかりと見て居てくれて、時々労いの言葉と共に話をしてくれることが4号にとっての唯一の幸福であって、
「オハナ様がこれ以上忙しくなって、私の存在を忘れたらどうしてくれるのよ!!」――――――そんな想いから、オハナを煩わせるものに対しては身内といえど容赦はしなかった。
影が薄いと言えば5号もそうであったが、先日〖砦〗をオハナと共に攻め落とした事から自信を付けて、それからは積極的にオハナダンジョンの人材育成に協力している。
そしてその砦攻めに同行した件は姉妹たちの中でまだ決着がついていない。
幾らオハナに連れて行かれたと言っても、やっぱり他の者たちにしてみれば羨ましいものは羨ましいのだ。
だからこそ5号は今自分が槍玉にあげられないように、怯える6号と7号と一緒に気配を殺して息を潜めていたのだった。
4号の怜悧な一言に3号の不穏な気配が更に増して行く。
3号自身も4号には悪いとは思っていた為、我慢はしているようだが決壊する時が近いであろうことは長年の付き合いから1号と2号、そして空気の読める5号には察することが出来た。
「その件はオハナ様から直々に謝って、ナデナデフルコースしてもらったから、特にもう気にしてませんって言ってたでありまショウ?」
5号はこれ以上4号に3号を追及させないために、新たな火種を投下してしまった。
「…………何それ?私、そんなこと聴いてない…………わ」
抑え込んでいた激情を解き放つ3号。
ナデナデフルコース――――――オハナの全蔓を総動員して、マッサージのテクニックを取り入れつつも基本揉みくちゃに撫でまわされる対眷属究極奥義。(オハナ談)
にわか仕込みのはずだったそれは、蔓の弾力、程よい刺激と相まってどんなマッサージよりも心地良く、全身を隈なくトロットロにされない限り解放されないというオハナ最大級の甘やかしだった。
「5号!!その話は内緒にしてって言ったじゃない!!」
「ほぅ…………それは私も知らん話だな」
「それはもしかしてこの前ふやけてた時か?おかしいと思ったんだよな」
それ故、ナデナデフルコースをされた者は最大級の羨望を浴びることになる。
1号と2号までもが不穏な気配を放ち、4号に詰め寄ってくる。
「4号ちゃんが悪いのでありマス、空気読まないから――――――」
「ついでだ二人とも、この際5号の砦攻め同行の件についてもゆっくりと語り合おうと思うんだが、どうだ?」
やれやれと肩をすくませた5号、しかしその後逃走を試みようとした処を1号にがっちりと押さえつけられた。
「アタシは構わねぇぜ?」
「私も…………異論はない、わ」
2号、3号が4号と5号の逃げ場を奪う様に迫る。
伊達にオハナの下で最も長い間眷属をしていない、獲物を追い込む時の息はぴったりだった。
「ひょえ!?こっちにまで矛先が――――――って6号ちゃん!7号ちゃん!どうして逃げるでありマスカ!?お姉ちゃんを見捨てないで欲しいでありマス!」
6号と7号がそーっとテレポートで5号から離れると同時、オハナ眷属たちによる語り合いが始まったのだった。
「まったくもぅ………………。オハナ様の眷属の皆さまにはもう少し静かにしてほしいものですねぇ」
どったんばったん暴れる眷属たちを見たサンガは、やれやれと首を振る様に全身を左右に振り、何も見なかった事にしてその場を後にするのだった。
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