☆1200突破感謝記念SS    今、逢いに行きます

オズワールドファンタジーがバージョンアップされました。

アップデート内容として事前に公開されていた内容を見て、私は思わずガッツポーズをしてしまったのを思い出します。


様々な対応の中に、


・一部種族の〖勢力変更〗機能の搭載


というものがありました。

これは何かというと、今まで勢力を決めてしまうと変更不可だったのが一部の種族――――――〖勇者側〗で言えばエルフやフェアリー、〖魔王側〗で言えば獣人族、鳥人族等が〖勇者側〗から〖魔王側〗へ、そしてその逆も可能になるというシステムでした。

但し、一度でも変更してしまうともう二度と変更できなくなるというものですが私には関係ありません。


あれから仲の良い方々にお願いしてオハナさんのダンジョンに連れて行ってもらえることになったのですが、予定していた日の前日にオハナさんのダンジョンにトラブルが有ったとかで行くことが出来ませんでした。(羽虫殺し蔓延による立ち入り禁止)


その後もう一度行こうと予定した日には人間プレイヤーの侵入が禁止になっていました。(オハナダンジョントライアル開催中につき立ち入り禁止)


もう!何なんですか!?

そんなに私とオハナさんを逢わせたくないんですか!?

もう私の中のオハナさん成分(?)が枯渇してしまってるんですよ!?


そうした不運が続いてしまうと、もう二度と会えないのでは?なんて弱気になってしまいました。

そんな時に齎されたのが、この〖勢力変更〗機能についての情報でした。


特に〖勇者側〗であることに思い入れが有ったわけではありませんので、私はすぐにオハナさんと同じ〖魔王側〗へと勢力変更する事を決めました。


オハナさんに逢えるのならば、勇者なんて幾らでも裏切ってあげます。


ログインすると、私は今回追加された〖勢力変更〗を行うための施設へと向かいました。

皆さん興味が有るみたいで、施設の入り口付近には人が溢れていました。

変更しないのであれば通して欲しいのですが、皆さんはどうやら〖勢力変更〗に関する注意書きを真剣に読んでいる様です。


例えどのような事が書いてあったとしても、私が〖勢力変更〗するのには変わり在りませんけれど、念のためにと私も注意書きを読んでみる事にしました。


………………字が小さくて読みにくいです。


どうして重要と思われることを小さな字で書くんでしょう?

せめて色を変えるなどの優しさが欲しいです。


段々読む気も失せてしまい、注意書きから離れた私はいよいよ〖勢力変更〗の受付へ。


「〖勢力変更〗を望むか?」


受け付けに立っている男の人は仏頂面で短くそう訊いて来ただけでした。

私は迷わず「ハイ」と返事をすると、


「〖勢力変更〗するともう此方には戻って来れん、それでも望むか?」


仏頂面の男の人は更に問いかけてきました。

取り返しのつかない事なので確認の意味もあるのでしょうが、この受付の人妙な迫力があります。


「私は〖勢力変更〗を望みます」

「………………承知した。こっちだ――――」


私はその人に受付の奥に案内されて行くと、そこには扉が一つ在るだけでした。

受け付けの人がその扉を開け、私を先へと促されて扉の奥に入りました。

そこから地下へと続く階段を延々と降りて行くと、周囲が一気に洞窟の様な雰囲気に変わりました。

長々と続いた階段が終わり、一番下に辿り着くと同時、周囲に紫色の炎が灯り始めます。

その炎に照らされてそこが大きな部屋である事がわかると、その部屋の床に大きくて真っ赤な魔法陣が浮かび上がりました。


……………これって本当に〖勢力変更〗なのでしょうか?

何か別の儀式とかに参加しちゃってませんよね?

私を生贄に悪魔召喚とかホントに止めて下さいね?


「あの魔法陣の中心に立てば、〖勢力変更〗が開始される。呪いで姿形が変わったその後〖魔王側〗の勢力へと転移することが出来る」


〖勢力変更〗を行うと容姿も変えることが出来るのですが、どうやらそれは呪いという設定のようです。

私にとっては新たな門出だというのに縁起が悪いですが、設定なので甘んじて受けましょう。


私は魔法陣の中心に立つと、魔法陣が赤い光を放ちながら起動を開始しました。

ゆっくりと目を閉じると、心地良い浮遊感に包まれていき―――――………。


〖勢力変更〗を開始します――――――。


〖種族〗チェック……………完了。

〖所持品〗チェック…………完了。

〖装備品〗チェック…………完了。

〖スキル〗チェック…………完了。

〖魔法〗チェック……………完了。


違法改造ツールなどは検出されませんでした。


これより種族〖エルフ〗である〖プリム〗を〖ダークエルフ〗に変更します。


…………………………完了しました。

キャラリメイクを開始します。



気が付けば、プリムを創った時と同様のキャラメイク画面になっていました。

うーん…………これから私は〖魔王側〗となるわけですし、これからはあのオハナさんと一緒に冒険するのですから〖ダークエルフ〗っぽくしてみましょう。


今まで金髪緑眼でしたがこれを機に銀髪、紫の瞳に変更しました。

肌も色白だったのを、〖ダークエルフ〗らしい褐色のものに変更。

それ以外の容姿は特に変えません、正直ちょっとだけ豊胸しようか悩みましたがこれ以上大胆に変えてしまうとオハナさんに気付いてもらえないかもしれませんものね?

これで今日から私は〖エルフ〗ではなく、〖ダークエルフ〗プリム爆誕です。


待って居て下さいねオハナさん、今逢いに行きますから。

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