☆500突破感謝記念SS オハナ聖域退去後のプリム
忙しくて〖世界大戦〗という大きなイベント中、一度もログイン出来なかった私、久しぶりにオハナさんに会うのを楽しみにいつもの聖域へ行ってみたのですが………。
どういう事でしょう?オハナさんが植わっていません。
聖域の中でも特に目立つオハナさんのチャームポイントでもあるお花が見当たりません。
落ち着きましょう、以前にもこういう事がありました。
あの時はオハナさんが進化していて、姿形が変わってしまっていたのですぐにはわかりませんでしたけれど――――――。
そう思ってオハナさんが居た場所から周囲を見渡してみても、特にそれらしい植物は植わっていません。
「オハナさ~ん?」
不安になって名前を呼んでみても全く反応がありません。
それどころか、いつもオハナさんと一緒に居る眷属ちゃんたちも姿を見せてくれません。
誰かが別の場所に植え替えたんでしょうか?
それとも進化して動けるようになったのでしょうか?
不思議に思いながらも、近くに居た冒険者の人に話を聞くと、
「あぁ。此処に居たあの植物型の魔物?イベントランキングの上位入賞報酬でダンジョンを貰ったとかで、そっちに移されたんじゃないか?」
何という事でしょう!
今までイベントに不参加だったオハナさんが参加していた……………?
オハナさんが参加すると知っていればスケジュールを調整してでも一緒にイベントに参加したのに!!
オハナさんと一緒のイベント…………きっと楽しいものになったに違いありません。
(※彼女はイベント内容を正しく理解できておりません)
そして何ですか?
オハナさんが初参加のイベントで上位入賞?
そんなの絶対にお祝いしないといけないやつじゃないですか!!
――――――ともあれ、オハナさんがもう聖域には居ない事。
そしてその理由もわかりました。
此処に来られるだけでとてもウキウキした気分になれていたのに、オハナさんが居なくなった今となっては何だか悲しい気分です。
心なしか世界樹さんもオハナさんが居なくなってしまって寂しそうです。
オハナさんと色々なお話をした、私とオハナさんの聖域………………。
オハナさんが居なくなってしまってはもう此処は私にとって聖域ではありません。
一先ず町へと戻った私は、オハナさんが運営しているというダンジョンへと行くためにパーティーを探す事にしました。
本当は一人で行くつもりだったんですけど、どうやらダンジョンには一人では入る事が出来ないんだそうです。
これからダンジョンに潜るのでメンバーを募集しているという掲示板を見つけ、私はすぐに〖参加〗を申請しました。
すると目の前の景色が変わり、募集した人が待つ小部屋へと案内されました。
そこには既に二人の男女が入室していて、
「うわ、本当に来たんだけど」
私を見た女の人がそんな声を上げました。
募集しておいてその言い草は何なのでしょう?
まぁ我慢しましょう、御世話になる立場なのですし………………。
「まぁまぁ良いんじゃね?どうせ数合わせなんだし?」
本当に、何なのでしょう。
面と向かって「数合わせ」だなんて、確かにそうですけどわざわざ言わなくても良いじゃありませんか。
どうやら二人は御知り合いのようです。
早くも出来上がってしまった二対一の状況に、嫌な気分になりながらもグッと我慢です。
オハナさんのダンジョンに行く事さえ出来れば後はどうでも良いんですから。
それにこうした方々と出会うのは初めてではありません。
どれだけ技術が進歩しようとも、未だに自分や友人以外のキャラクターが「人」だと思えない方々も存在します。
正直そうした方たちは個人的にはゲームするのを御遠慮願いたいくらいなのですが、目的の為には仕方がありません。
「はじめまして、プリムと言います。ダンジョンに行かれるんですよね?」
意を決して話しかけた私に、御二人は顔を見合わせて笑い合うだけ。
…………とても印象が悪いです。
そこへまた一人男性が後からやって来て、この人も二人とは御知り合いのようです。
私の事を訝し気に見て、
「二人、良かったらこっちに来ないか?俺たちはすぐに出れるぜ?」
私を完全に居ないものとしての言葉に、怒りよりも先に悲しくなってしまった私は何も言えずただ黙って成り行きを見守る事しか出来ませんでした。
「あ~じゃあ俺たちもそっち行くわ。そういう訳だから――――――」
「この部屋に居たいなら居てくれても良いよ?ただ戻ってくるかは判んないけど」
二人はそれだけ言い残して退室して行きました。
一人部屋に残された私、今とても………………無性にオハナさんに逢いたいです。
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