20.5 プレアデス[霞昴]

 正直、私には双子の姉妹が言った内容が理解できない。

 私は好きな人を他人に取られたら嫌だし、死ぬほど悔しい。

 それこそ友達や姉妹なら尚更。

 顔を合わさる度に、そう考えるもんだから割り切るのって相当時間が掛かるだろうし、気まずくもなる。

 それを堂々と言った菫ちゃんや納得した杏ちゃんも気持ちが強いやと口に残ったクッキーの甘ったるい味を堪能しながら思う。

 胸焼けするよ、本当に。

「さてと、歯磨きー」

 このままじゃモヤモヤするので歯磨きをしに下に降りる。

「ぁあァー眠い」

 歯磨きをしながら、顔を青白くさせ、目の周りに濃い隈が出来てる人物が居た。

 赤と白のチェック柄のパジャマ姿をした少女が洗面所で死にそうな顔をしている。

 鏡に映る姿は昴と瓜二つだった。

「また徹夜?」

「うん……。締め切り近いから缶詰。死にそう 」

「見れば分かるよ」

 昴がそう言い、隣で歯を磨き始める。

「それで進捗はどうっすか!」

「無駄にテンションたけー。駄目、没……」

「じゃ仕方ないね☆」

「うわー、マジ容赦ねェ……」

 ゲンナリした顔で昴を見た少女は口をすすぎ、顔を洗い終わるとフラフラとした足取りで昴に聞く。

「で、昴ちゃんはどうしてそんなに不機嫌なんだい?」

「んー?どういえばいいのかなぁ。例えばだけど不貞を働こうとした人を懲らしめようとして、実は違くて返り討ちにあったみたいなー、そんな感じ」

「花子が?」

 目を見張り、心底意外だと言う顔で私を見てくる母親だった。


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