第14話 蓮沼明日香
「冗談です。先生の
澄ました顔で無表情のまま暇じゃない発言したキャリアウーマンと尚も顔を真っ赤にさせてベンチに座り直して唸ってる草壁茜との関係性とは?
「原稿なら前に送ったはずですよね?何で、狙い済ましたかのように、ここに居るんです?」
茜のぎこちない敬語に、一瞬で目の光がなくなった女性は仏教の悟りを拓いたかのように呟く。
「遅めの昼食を済ませて、こう……俗世から放たれた一時を時間の許す限り、怠惰に貪ろうかと思いまして」
無表情に微かに溢れ出る哀愁漂う感じに、茜は分かっていない感じで、俺だけがビシビシと伝わってくる。
あれか。疲れたサラリーマンが憩いの場所を求めて公園に集まる現象みたいなものか。
「なんか、お疲れ様です」
掛ける言葉に詰まり、花子が声を掛けると女性は少しだけ頬をプルプル?させて頷き、名刺を渡してくる。
[
「……茜」
「あんだよ……今、困ってるからあまり絡まれたくないんだけど」
お辞儀をして丁重に名刺を受け取り、その内容を見た瞬間にあの人気の漫画を思い出して、花子は訊ねる。
「テディベアにララバイって作者の
「知らない」
名前を言おうとして速攻で否定した茜の顔は発言と反して、見るのも躊躇うように真っ赤になっていた。
ハンドルネームが漢字を変えただけ。
しかも嘘を言うのが下手だなと花子が思っていると、キャリアウーマンは茶封筒の中身をゴソッと出して茜に見せる。
一際、クローズアップで出てきたページ。
それは漫画の登場人物。
明らかにテディベアにララバイの主人公でイケメンキャラクターの
「後日。自宅に伺う手間が省けたので今、言いますけど何ですか、これ」
無表情なのに今、凄い怒ってますよって感じでページをパラパラ捲る。
「ここで主人公の幸男君がサブヒロインの
そう巻き舌で捲し立て、胸ポケットから取り出した黒縁メガネを装着してからは水を得た魚のように、無表情で的確なマシンガントークの応酬。
一方で俺に否定した朱音先生。もとい茜はと言うと、もう勘弁してくれって感じで俯きながら両手を顔に当てて顔真っ赤。
しかもベンチに座りながら羞恥心でプルプル、子羊のように小刻みに震えている。
流石に
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