わけ
恋は盲目とはよく言ったものだ。
文字を目で拾い、言葉を耳で拾い、全身で思考を巡らせて、休ませてくれはしない。
一日中、日本語のことを考えてばかり。
幸せ。
なのだろうと思う。
夢中になれる存在に出会えたことは。
けれど、時々、取り込みすぎては目の前が真っ暗になって、視界が封じられて初めて過呼吸を起こしていることに気付いたかと思えば、意識がぷつりと途切れるのだ。
加減を知りなさい。
母によく言われるのだが、どうしようもない。
だって日本語は常に身の外からも身の内からも生まれ続けている、聞こえ続けている、見え続けている、感じ続けているのだから。
どうしようもないな。
楽観的に考えていたところに舞い込んだお見合い話。
奇跡の出会い。
あの人のへたくそな、意味があるのかないのかわからない日本語が羅列されている鼻歌を聞いている時はどうしてか。
脳が安らかに休止するのだ。
身体が安らかに脱力するのだ。
どうしようもないことがどうにかできるかもしれないのなら。
どうにかしてやろうと軽く思ったのだ。
(2021.10.26)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます