二匙
「君に使用されているネジの生産が一年後に停止される。買い占めておけば当分問題はないだろうけど。期限は狭まる」
「はい」
「いいのかい。本当に。代替品なんて腐るほどあるのに」
「いえ。本当は部品を変えなければいけない時に終わらせるべきだったんでしょうけど。メーカーがなくなるまでは、と。伸ばしてしまいました」
「期限までに見つからなければ、君の月の船の命に背くことになるんじゃないかい?」
「先生。僕たちが機能停止した時、亡くなった人間の魂と一瞬でも会えると思いますか?」
「さて。望めばいくらでも。と言っておこうか」
「ではもし見つからなければ。望まないようにしますよ。全身全部品をかけて」
「お金目当て。愛情目当て。解体目当て。暇潰し。偽装結婚。その他。様々な事情であなたと結婚される方々がいましたね。私も含めて」
「はい」
「紗月の友人である
「はい」
「元妻として。新しく来る奥様と昼ドラ定番のドロドロの関係になってみせましょうか」
「やめてください」
オルガは漸く落ち着きを見せた。オリフィラは首を左右に振った。
「九十八回もお見合いをして、まだテンパるなんて思いもしませんでした」
「僕もです」
「それでも結婚を了承してくださった原のばら様に感謝するのですね」
「仰る通りです」
「ずっと付き合っている私にも感謝してくれてもいいのですよ」
「全身全部品を以て感謝しています」
「よろしい」
では出迎える為に部屋を装飾するので手伝ってください。
オリフィラの願いに、オルガは粛々と応えたのであった。
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