めい









 星の数ほどお願いはされたが、命令されたことなど一度もなかった。




 眠くてたまらない。

 何度も細くなった目をしばたかせる己の月の船である紗月(さづき)は、消耗していく身体とは裏腹に、覇気のある言葉を発した。



 初めて命令するね、私の月の鏡。

 君は愛するものを見つけるまで、私の後を追ってはダメだよ。



 家事介護の為に全人類に配置されたアンドロイドは、生涯相棒となる月の船が死んだ瞬間、機能停止、分解、新たな身体を構築されて、新しい月の船の元へと届けられるのだが、めったにない例外がたった一つ。

 己の月の船がそれをよしとしない場合。

 ラルガもそうであり、紗月が亡くなって以降、愛するものを見つける為に奔走するのであった。








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