七夕に

まだ梅雨の明けやらぬ七夕に

カメラを構える彼が

伝えようとしている言葉が聞こえるかい


幾重にも重なる雨雲が

鮮やかな色彩を連れてくる


みんなが知っている。

だけど、忘れてる。


立ち止まり、未来を振り返ってほしい。

雨はすべてを映し

今にもこぼれ落ちそうな色を光らせる


彼は、

伝える言葉がないから。と

カメラを覗き込む。



山あいの道に雲がかかれば

まるで山水画の中の主人公


ひと時の霧を突きぬけるとき

額から流れる水は 汗なのか霧なのか


白黒モノクロの景色の中で

彼は色を見つめて

言葉をつむ


写真では伝わらないから。と

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