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「人を探してるんや。百万で、手ぇ打ったらんか?」


 ニコニコ金融の社長、山崎——多分、偽名やろうけど——に札束を差し出した。


「良いよ」


 さらりと返答する。


 百万円を受け取り、代わりに《うまか棒》の辛子明太子味を手渡して来た。


「——で。探して欲しいのは、誰?」


「此の男を探して欲しいんや」


 写真を差し出した。


「多分、名うての賭博師(ギャンブラー)や。裏世界の人間、当たっていけば見付かると思う」


 《うまか棒》を食いながら、後を続ける。


「いけそうか?」


「うん、多分ね」


 えらい緩いノリやった。


「見付けたら、連絡する。連絡先、教えて」


 山崎はスマホを取り出した。


 俺のは未だに、ガラケーやった。こんなもん、使えれば何でも良いねん。あんな平べったいもんの何処が良いんか、良う解らんわ。


 携帯の番号を伝えると、八代を見る。


 相変わらず、田辺にガンを飛ばされ捲ってた。


 後ろから、田辺の髪の毛を鷲掴みにして、此方に引き寄せた。


「おい、ごらぁ。俺の弟子に何の用やねん? 金なら、返したやろが?」


 何が起きたのか理解、出来てへんのかして田辺は狼狽(うろた)えとる。


「其れとも何か、兄ちゃん。俺等に喧嘩、売ってるんか?」


「……え、いや。すみません。何でもないです」


「嘗めるのも大概にしとかんと、怪我すんで」


 田辺を解放してやる。


 山崎は此方を見てるだけで、何も言わんかった。


「八代。そろそろ、帰るで」


「は、はいっす……」


 八代まで、びびってしもてるやないか。

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