13
「人を探してるんや。百万で、手ぇ打ったらんか?」
ニコニコ金融の社長、山崎——多分、偽名やろうけど——に札束を差し出した。
「良いよ」
さらりと返答する。
百万円を受け取り、代わりに《うまか棒》の辛子明太子味を手渡して来た。
「——で。探して欲しいのは、誰?」
「此の男を探して欲しいんや」
写真を差し出した。
「多分、名うての賭博師(ギャンブラー)や。裏世界の人間、当たっていけば見付かると思う」
《うまか棒》を食いながら、後を続ける。
「いけそうか?」
「うん、多分ね」
えらい緩いノリやった。
「見付けたら、連絡する。連絡先、教えて」
山崎はスマホを取り出した。
俺のは未だに、ガラケーやった。こんなもん、使えれば何でも良いねん。あんな平べったいもんの何処が良いんか、良う解らんわ。
携帯の番号を伝えると、八代を見る。
相変わらず、田辺にガンを飛ばされ捲ってた。
後ろから、田辺の髪の毛を鷲掴みにして、此方に引き寄せた。
「おい、ごらぁ。俺の弟子に何の用やねん? 金なら、返したやろが?」
何が起きたのか理解、出来てへんのかして田辺は狼狽(うろた)えとる。
「其れとも何か、兄ちゃん。俺等に喧嘩、売ってるんか?」
「……え、いや。すみません。何でもないです」
「嘗めるのも大概にしとかんと、怪我すんで」
田辺を解放してやる。
山崎は此方を見てるだけで、何も言わんかった。
「八代。そろそろ、帰るで」
「は、はいっす……」
八代まで、びびってしもてるやないか。
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