12

 2セット目。


 もっかい一円ずつ張ったる。


 けど、今回は『グー』『チョキ』『パー』や。


 どれか一枚でも落札したら、勝負を仕掛けられる。


 配られたカードは、『手無し』が二枚と『チョキ』やった。


 ——って事は、鬼瓦は『グー』と『パー』か。どっちが二枚かは知らんけど、此方の攻撃の目が出て来たな。


 一戦目は取り敢えず『手無し』や。仕掛けるのは、二戦目か三戦目のどっちかや。理想は三戦目の2分の1に追い込んでからやな。


「兄ちゃん、今回はチョキでも持ってるんとちゃうか?」


「さぁ、どうやろなぁ」


 疑ってるな。


 教祖様と先生、顔に出してないやろな。


 二人共、キョトンとしとる。あんまりゲームを理解、出来てないんとちゃうやろか。


 まぁ、お陰で鬼瓦の疑惑が薄まるかもしらん。


「まぁ、良いわ。俺は『グー』や」


 良し良し。


 予定通りや。


「何や。又、手無しかいな」


 警戒の色が薄くなってる。油断してるんやろか。


 ——否。嘗めてるんや。


 『→』を置きながら、鬼瓦を睨み付ける。


「早よしてくれる?」


「まぁ、そう焦るなよ」


 鬼瓦はカードをオープンしたまま置いた。


 『↓』やった。


「此処で負けたら、笑(わろ)たるわ」


「そら、残念やったな」


 俺もカードを開示する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る