田んぼの水見

 この季節、夕方になるとじいちゃんは

「田んぼの水見みずみ、いっでくっから」

 と出かけていきます。


 田植えの後に、田んぼが乾いたり、苗が水にジャブジャブ浸っていたら良く無いよね〜と、アバウトに「水見」の意味を考えていたのですが、せっかくなので何のためにしているのか、じいちゃんに聞いてみました。


 すると

「寒暖差が無いと、『分けつ』しねぇからな」

 との答えが。

 お、なんかプロっぽい専門用語が出てきたぞ。


「分けつ」とは茎が太って枝分かれすること。一株の茎が十数本に増えるらしいです。

 水温を上手くコントロールすることで、分けつを促し、茎の数を確保するんだとか。

 苗を植えた直後は水位を上げ、弱い茎や根を守ります。うちのような寒い地域では、夜になって気温が下がってからも、温かさを保てるように水位を高くするなど調節が欠かせないようです。


 夕方になると、じいちゃん以外にも、田んぼの様子をパトロールする軽トラを見かけます。


 細やかな田んぼの水管理、とても大切とのこと。

 天気におまかせじゃない。

 自然を読みながらの緻密な作業の繰り返しが、美味しい作物を生み出すんだなぁと改めて思いました。

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