第7話

高校に進学してもスクールを続けると決意したのは、まだ先生に気持ちを伝えていなかったからだ。


相変わらず先生とは憎まれ口をきく仲だった。


「あ〜あ、イケメン先生の担当にならないかなぁ」


「どうした、お前の眼は節穴か?」


「はぁ」

と溜息をつき、本当は話せる事が嬉しくてしょうがないのに、構って欲しくてそんな事を言う。


「担当の変更希望伝えておこうか?」


ニヤリと意地悪そうな顔で先生は言う。


「それは先生が可哀想だから、しょうがないからこのままでいてあげる」


「素直じゃないなぁ、そんなんじゃ高校生になっても彼氏できんぞ」


その言葉にボソッと呟く。


「別に彼氏いらないもん…」




中学校の卒業式も終え、春休み中の出来事だった。


同じスクールに通う友人から連絡がきた。


"4月からあの女の先生、いなくなるっぽいよ"


"何情報?"


"次回以降の担当から名前がないみたい"


心の中でガッツリポーズをした。


もしかして別れた?!


チャンスが巡ってきた?!


早く次のスクールの日にならないかなぁ、と心を躍らせた。


別にあの女性ヒトに何かされた訳ではない。

ただの嫉妬だ。

そんなことは分かっている。




その後は本当にその女性ヒトは他の店舗に異動になっていた。


男子生徒がガッカリしている姿を横目に、


「せんせ〜、あの女の先生と別れたんですかー?」


勇気を出して聞いてみた。


先生は満面の笑みで「順調」とピースしてきた。


ショックが大きくて、その日は泣いた。


なんでだよぉおおおお


まるでモノマネ芸人のように心の底からそんな言葉が浮かんだ。




しかし、違う店舗になればそれこそすれ違いで別れるのでは?!


うん、きっとそうだ。そうに違いない。


落ち込んだ自分を励ました。

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先生を振り向かせたい @chocolateparfait

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