第5話

外の風が冷たくなる頃


先生とあの女性ヒトは付き合いだした


直接聞いたわけじゃない。


ただ


「解る」


女の勘だろう。


先生も男子生徒からの揶揄からかいにも余裕の表情だ。




気持ちを伝える前に振られた気分だった。


今、伝えても勝算はない。


先生のことだ、そんなに続くはずはないと希望を持ちながら過ごしていた。




早く大人になって先生の恋愛対象になりたい。

その気持ちで受験勉強に励んだ。


「先生〜、高校受かったら何かご褒美くれますか?」


「スマイルで良い?」


「いらない。」


「こらこらこら」


「先生って歳下何歳から付き合えるの?」


「なんだ、先生と付き合いたいのか?」


「おじさんは勘弁だわ」


きっと先生は気付いてる。


悔しい。




私があと5年早く産まれてたら。


先生と同じ職場だったら。


叶わないと分かっていながらも、今よりも大人になれば振り向いてもらえるかもしれないという微かな可能性に望みをたくしていた。


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