第4話

中3になった春


見慣れない講師が教室にいた。

「こんにちは」

そうこちらを振り返る講師は

小柄で笑顔の可愛い女性ヒトだった。


私とは正反対だ


本能的に嫌な予感がした。




先生は最近、雰囲気が変わった。仕事も忙しそうだ。


いつものように先生とふざけ合っていると、その女性ヒトが教室から出てきた。


先生の視線がそちらに向かうのが分かる。


だって、私も先生のことてるから。


先生が誰を視てるくらい、分かる。




夏頃

先生とその女性ヒトが仕事終わりに教室の近くを2人で歩いているのを見たと言う噂が出た。


ふざけた男子生徒が先生に聞く


「せんせー、あの女の先生と付き合ってるんですかー」


私は耳を澄ませた


「それが、なかなか振り向いてもらえないんだよ」


良かった。

まだ付き合ってなさそうだ。




「ただいまー」


家に帰ってご飯を食べて、受験勉強をする。

部活を引退してから、同じような毎日だ。


「コンビニ行くけど、アイスいるか?」


兄からそう声をかけられた。


気晴らしに一緒に行く事にした。


コンビニの近くには英会話教室がある。ちょうど最終の授業が終わる頃だ。

先生に会えるかもしれない、そう期待してしまった。


コンビニでアイスを買って出ていくと、視線の先に例の女性講師がいた。


「あ…」


そう思った瞬間


後ろから先生が急いで追いかける姿が見えた。


追いついて、楽しそうに駅の方へ向かって二人で歩いていた。



先生の表情を見て




ハッとした。




先生が本気だ。




今までの知っている先生じゃないみたいだった。

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