第3話 神機

 キーンコーンカーンコーンと桜中学校のベルがなる、戦空と夜鈴は小学5年生の教室に入っ。、そしてこの学校で波乱は巻き起こる。

「転校生の浮遊戦空君です」

 湘南桃花(しょうなんももか)先生は転校生の自己紹介をする。

 ぱちぱちぱちと教室中から拍手が沸き起こる、戦空は、これまでこういった舞台に立ったこともないので緊張している。

 その様子を夜鈴は珍しい動物を見るような目で見ていた、昨日からすると随分にぎやかになるような予感は若干感じた。何故なら夜鈴自身がアシストしたとは言え、美味しい所は全部彼に持っていかれたのだから。

 自分があのEMをつけたら自分も1億レベルくらいになるのだろうか?

 などの期待感もあった。そんな中の朝のホームルームである。


 ちなみに先生である湘南桃花も緊張している、実習の頃に経験したとはいえ初めて自分の担当のクラスを持つのだ。緊張しないはずがない、ここのクラスの子たちはどうか大人しい子たちでありますようにと切々と願っているような状況である。そんな中で授業は行われた。

 湘南桃花は歴史の授業を進める。教科書に目を通すもの、だらける者、歴史の方が間違ってるよ! と疑いの目を投げかける者、今晩の料理を考えてる者、皆真剣に授業を聞いている中戦空だけ寝ていた。桃花先生は戦空をゆさゆさと優しく起こし、戦空に授業の問題を投げかける。

「戦空くん、この問題わかる? わからないなら夜鈴ちゃんに……」

 そうして授業は過ぎて行った。

 が、戦空がEMを取り出して遊んでいたところを子供用のおもちゃと思われ没収され。職員室へ行くことになった。



 桃花先生は戦空に優しく注意する。

「だめじゃない、こんなおもちゃ学校に持ってきちゃ」

 戦空は、嫌々ながら反省した素振りを見せて返事をする。

「すみません~」

 そして桃花先生は他の先生に聞こえないように、こっそりと告げ口する。

「こういうのは、先生に見つからないようにこっそり持ってくるのよ」

 桃花先生は、教師になったばかりの新米の先生だ。教師というよりまだ大学生っと言った方が彼女の印象としては近い。子供のおもちゃを持ってきたい気持ちも少しはわかるのだ。

 ただこういう公の場でやっていいことと、悪いことの区別はついている。

 公の場で見つけてしまった以上、先生として注意するのはしょうがない事なのだ。

 戦空は転校生、やっていいことと悪い事の判断がつかないのもしょうがない。

 そして、初対面でもっと戦空と仲良くなりたいという思いから、おもちゃであるEMを手にし。戦空に、ゲーム機に興味を持った湘南桃花先生は……。


「で、これどうやって遊ぶの?」


 戦空はさっきの表情から一変、うきうきと心踊りながら答える。

「それな! エレメンタルってやって…」

 桃花先生はトリガーをはめ戦空と同じ動作をする。

 メダルを親指で弾き宙へ浮かす。飛んだメダルは回転し。~以下省略~。

 プレイヤーは声を張り上げる。

「エレメンタル!」

 西部劇のガンマンが、拳銃を抜くように水晶を割る。

「ドロー!」

 悪ふざけで桃花先生も「ドロー!」っとマネをする。

 途端にパリンとガラスを割ったような衝撃と、ダイヤモンドダストのキラキラとした粒子が風に乗って浮遊する。職員室中を覆う凄まじい突風も発生した。

 桃花先生の山ずみにしてあった書類、描きかけの答案用紙などが。

 まるで紙ふぶきのように吹っ飛ぶ。職員室内でいきなり起こった出来事に、騒がしかった職員室は急に静寂を取り戻し。他の大人の先生達が桃花先生の方を凝視している。

 廊下の方で待っていた夜鈴も、何事かと思い職員室の方へ入ってくる。

 桃花先生の前にはまるで、人形のようなはたまた、召喚獣のような形相の少女が空中で浮いていた。背中には星型の翼があり目は灼眼色に輝きまるで幻想のような姿だった。

 湘南桃花:レベル1能力。幻想具現化。

 創造したものを具現化する能力である、ただし戦闘用ではないため戦闘では弱い補助型の能力、自分で上手くイメージしないともろく崩れ去る、使いすぎると頭痛になる。

 桃花先生は茫然としたまま、場をごまかすようにこう言う…。

「あ、あははは。さ……最近のおもちゃは高性能ね……」


 ゲーム機EMは、使用した人間の心に反応して能力が変わる。

 自分から選ぶことは最初できない、のちに使用者の心に反応して、能力が変化したりする。

 能力は基本的に1つしか使用できないが、増えた場合選んで選択、使用する事が出来る。

 初めて使う場合、全員レベルは一である。

 能力はどこから発生しているかというと、コインから発生した四角い結晶体のようなものが割れて空気上に漂う。ミクロ単位に細かくなり、細胞の中へとエレメンタルが入る。

 入ったら汗、気泡となって体外へ出てくる。この時に能力が使用可能になる。使用すると気力体力を消費していくので、マラソンをしているような感覚に陥る。


 心の消費、能力は精霊界にいる精霊と契約しているので心のエネルギーは精霊達の栄養となる。

 栄養となる代わりに、精霊達が人間たちに自分たちの能力を分け与えることにより。

 能力が使用可能になる。最初は契約していない精霊達に契約を申込みに行くので、その契約はEMを作っている星明幸や、星明幸が経営している会社、神道社の運営側が契約を申込みに行く。

 今はある程度の火水風などの基本属性の契約は運営側が契約済みなので、知らない人がいきなりエレメンタルを起動しても精霊と契約したことになり。

 能力を発動することができる。さらに細かいことが知りたい場合は取扱い説明書を読むか。

 星明幸側が運営しているダンジョンや、ゲームワールドに関しては、運営側から攻略本が発売されているのでそちらをお読みください。などだ。

 なお、攻略本は地球には売っておらず。

 地球は田舎でまだゲーム機であるEMが普及していないので、本が発売されていない。

 星明幸は神様でありお金は必要ないが、他の運営している社員は私生活で、お金が必要なので攻略本は料金を払う、または物々交換をすれば手に入手可能。


 職員室に居づらくなった桃花先生は、戦空と夜鈴を連れて体育館裏へときた。

「一体どういうことなのよ、ゲーム機にしてはやけに高性能過ぎない?」

 夜鈴は謝罪するように言う。

「申し訳ありません、戦空ににはあとできつ~く言っておきます」

 まるで戦空の保護者のようである、すると戦空は愚痴るように。

「うちは言われた通りにやっただけだもん」

「夜鈴ちゃん、最近のおもちゃってこんなんなの?」

「おもちゃじゃなくて、神機らしいですよ? そのゲーム機。でもそれ以外の事、どうやって遊ぶかなども私はわかりません」

 と、そこへ。今朝の黒魔道師が黒色のドーム型の結界を張って現れた。桃花先生は叫ぶ。

「なにこれ!?」

「また会ったな子供たち二人組……! と誰だお前」

 クラウンは言う。全く状況について行けない桃花先生はとりあえず礼儀正しく振る舞う。

「あ、初めまして湘南桃花と申します。うちの生徒たちが何か?」

 クラウンは前回、邪魔されたこともあり。そそくさと帰ったが。

 そのあとに巫女ヒミコにこってり怒られ、今度こそ失敗は許されないと言われていた。クラウンは怒鳴り散らすように……。

「とにかく! あの三ツ矢の言っていた事も一理ある! あのみことという巫女を狙う前にアイアンゴーレムを止めたそこの夜鈴って子から抹殺する!」

 夜鈴は嬉々として語る。

「好都合! さっきの借り! きっちり返させてもらうわ!」

 夜鈴と戦空は臨戦態勢に入る、前回こっぴどくやられそうになったのだ。今回はスキを見せない、さっさと変身ポーズをとり。

「「エレメンタル! ドロー!」」


《浮遊戦空/能力『風』/レベル1。凪ノ唄夜鈴/能力『神経』/レベル1》


 地獄の黒魔導師クラウンは待ってましたとばかりにニヤリ。と半笑顔になる。

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エレメンタルワールド~リピート~ ゆめみじ18 @hanadanngo

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