第11話
「このバフォメット様と戦って無事で居られると思うなよ!」
「なに!?どういうことだ?」
「ふふふ、これから貴様らにジゴクを味わわせてやろう!来い!我が子達!」
なっ!しまった!バフォメットがこいつ一体のハズもなかったか!油断し・・・たぜ?
「きゃー!かわいー!」
キュティが嬌声を上げる。
「くっこれは驚異的な可愛さだ。」
きゅうきゅう啼きながらもふもふが俺たちを取り囲む。くそっ!これは罠だ!俺たちを陥れるための!
あーでも癒されるー。
「ふふふ頃合いだな。我が子達よやれ!」
もふもふの目がキラリと光り、爪を立てる。
「貰ったぁ!」
ガギンッ!
「なっ!?」
靄が晴れる。
「やれやれ、癒し力に負けるところだったぜ。」
「貴様っ、なぜ生きている。」
「ふふふ、こいつが守ってくれたのさ。」
「そっそれはぁ!」
「そう、ドクペだ。こいつがなければ俺も死んでたさ。」
まあ穴が開いてお漏らししたようになってしまったがご愛敬だ。
「くそっ!貴様伝説のドクペを持っているとは・・・この世界の人間ではないな?」
「ご明察」
「と、取り出せる?」
「残念ながら取り出せない。お前に潰されたから残りはこの一本だけだ。この場から立ち去るというのなら、やってもいいぞ?」
バフォメットが止まる。すごい勢いで悩んでいる。
「おい爺ぃ」
「なんじゃタロー?」
「ほれ隙作ったぞ」
「お、おお!そうじゃな!」
「神官様さっきまで死にそうにしてなかった?」
「何のことかのぅ?ふぉふぉふぉ。それよりもこいつであの世に送ってやるぞ!滅魔神鞘ぉぉ!」
鞘のようなものを取り出し神官の爺ぃが叫ぶや強力な光がバフォメットに向かう。一瞬驚いたような声を出したが、光に飲み込まれていった。
「終わったか?」
「ふふふ儂にかかればこんなものよ。」
そのとき光の渦から槍が神官に放たれる。
「ぎゃぁああ!」
「し、神官!」
バフォメットが赤い目を血走らせながら叫ぶ。
「よくもやってくれたな!これは刺されたものは1本ずつ髪の毛が抜けていく呪いの槍だ。」
「な、なんだって!じゃあ神官の頭は!」
つるーん
「な、すでに一本もない!」
「もとからよ。」
キュティ、それは一体?
女神が何かを見つける。
「何かしらこれ・・・ズラ?」
「一体誰の・・・?」
「それ神官様のズラよ!」
ということは・・・?
「うっ・・・くぅぅ・・・」
傷は深いようだな。
「ど、どうだこの俺様の精神攻撃は」
「貴様、貴様貴様!きさまぁあああ・・・」
神官が壊れたレディオのように繰り返しつぶやく。
「爺、俺が仇を取るぜ。このドクペ真拳でな。」
「な!ドクペ真拳ですって?」
「知っているの!?女神様!」
「ええ、こいつのいた世界で封印されし魔拳。余りの危険性から大昔に葬り去られたと言われてるの。」
「そ、そんな危険な技をタローが?」
神官の仇を討つべくタローは立つ。謎のドクペ真拳とはなんなのか、そして強敵バフォメットに勝つことはできるのか?
闘えタロー、負けるなタロー。村の命運をかけた一戦がここに切って落とされるのであった。
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