第7話
「覚醒?なんだそれは!?」
「あら、気になるのね。・・・まあ簡単に言うと覚醒すると多少の物理法則が無視できるようになるのよ。」
「魔法とは違うのか?」
「魔法は私たち神か敵対する悪魔くらいしか使えないわ。魔法ほどじゃないけど少しご都合主義な事ができるって事よ。」
魔法ほどではないが、在ると便利な力と云うことか。しかしその覚醒というのはどうしたら得られるのか・・・。
「発動条件は人によって異なるから、一概にこうしたらいいとは云えないわ。」
「二人はどうして覚醒したんだ?」
「修行の結果じゃよ。」
「違うでしょ!私の下着を盗ろうとしたり、覗きしようとしたりするから!」
なるほどこの二人はお互い切磋琢磨したからこその発現か。俺の発現条件は何なのか、そして得られる力とは・・・。その謎を解き明かすべく脳内調査隊は脳内ボルネオ島に向かった。
~5分後~
「ふぅ、残念ながら真相究明には至らなかったが、ゾウや大蛇などと生死をかけたいい戦いだったな。」
「・・・妄想終わった?」
「妄想じゃないぞ?脳内調査だ。」
「はいはい。で、神官と巫女はそろそろ落ち着いたかしら?」
「ふぉふぉふぉ、儂は元から冷静じゃ。」
「はぁ・・・。んで、山を荒らすってのは一体何なんでしょうね。」
キュティと神官による即席のログハウスで囲炉裏を囲み、今後のことを話す。とりあえず明日昼頃には目的の山には到達する。何があるかわからないから警戒は・・・キュティと神官がいるから不要だろう。とは村を困らせる脅威とは一体・・・?そもそも山を荒らすとは言え、村から結構離れたこんなところまで村長は一体何をしていたのか?
「まあ、行ってみればわかるでしょ。うだうだ考えてても仕方ないから、寝ましょう。で、寝室はどこかしら?」
「あー女神様・・・寝室はデスね、有りません。」
「な、なんですってー!じゃあこの爺とタローにこの可憐な女神様があんなことやこんなことされてしまうじゃない!」
「いやおめぇだけは無いから・・・ぶわらはぁ!」
「タローは一言多いのう・・・。女神様を襲うなどと恐れ多くてできませんじゃ。」
「・・・まぁいいわ。男共は外で寝てるのよ?」
仕方が無いのでテントに入って寝袋にくるまる。ログハウスにふとんはなかったの
でエアマットに寝袋の組み合わせの方が寝心地が良・・・い・・・ぐぅ。
「と言うことで、草木も眠る丑三つ時、食事に強力な眠り薬を混ぜておいたからの。皆ぐっすりじゃ。ふぉふぉふぉ。これで村長に頼まれていたキュティと女神様の寝姿をバッチリこのカメラに収めるのじゃ。ふぉっふぉっふぉっふぉ!一枚につき金貨1枚という破格じゃったからのぅ。こういうこともあろうかと静音撮影が可能なこの高級一眼レフを買った甲斐があったってものよ。」
神官は音も立てずドアを開ける。壁に沿ってそうっと二人に近付く。よしよしよく眠っておるのう。キュティも眠っていればかわいいのにのうあんな凶暴では宝の持ち腐れというものよ。ぐふふ。
ふとんもないのでただ雑魚寝をしているだけ。女神様は寝相が悪うございますな。イロイロと見えておりますぞ。
カシャッ・・・カシャッ・・・
さてそろそろキュティのだらしない寝顔も・・・!!いない!なんと!もしや!
「さて、どういうことかしら?説明していただけるかしら?神官様?」
「ふぉふぉふぉ。これは芸術じゃよ。さらばじゃ!」
煙幕弾を転がし、窓から飛び出す。このまま村にまで逃げ込めば任務完了じゃ!キュティもまだまだ修行がたりんの。
「逃げおおせると思ってますの?神官様?」
「え・・・め、がみ・・・様?」
バサササササ!
漆黒の森から鳥と獣たちが慌てて飛び出していく。
「カメラは!カメラだけは助けてくれぇ!!!!」
ちゅんちゅん
「くはぁ!なんか夜中騒がしかった様な・・・ってなんで女神が隣で寝てるんだ!おい!」
「あーオハヨー。なんであんたこんな良い装備持ってるのに言わないのよ!」
「追い出されたからなぁ・・・。」
顔を洗おうとテントからでる。枝にうつ伏せの状態でぶら下がった神官に気づく。
「神官のじいさん、ずいぶん不思議な寝方をするんだな?」
「こ、これが寝ている様に見えるとは流石じゃの・・・。」
「お、ずいぶん良いカメラじゃネーか。前の世界の○6みたいなな-」
「それは儂のカメラじゃ・・・」
「ははーん。じいさん、さては寝込みを撮ろうとしたんだな。まああの二人は黙っていれば美人だからなー。あっはっはっは・・・ぷげら!」
今日中に目的地に行けるのだろうか・・・がくりっ。
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