第6話
コキコキ・・・
「ふー。いちち。暴力女神のおかげで生傷が絶えんな。」
「下僕の分際で女神である私に楯突くからよ。」
「へいへい、そりゃどーもすみませんでしたー。」
「そ、そんなことより村の困りごとを解決してあげた方がいいんじゃ・・・。」
たまには普通な感じで会話するのも良い。いつも天元突破したような思考は作者の脳みそが死ぬからな!
とりあえず対象の山に向かう。どうやら徒歩だと数日かかる距離のようだ。
「ねぇ、場所がわかっているんだし、私が居るんだから飛んでいけば良いじゃない。ほんの数分よ?」
「そうよ女神様のいうとおりよ。歩いて行くなんて時間の無駄じゃない。」
「フッフッ。その無駄が愉しいんじゃないか。」
「どこかのキザなキャラみたいな事を言うのぅ。」
「無駄を愉しめるのが高等生物の特権だからな。」
きつい山道を歩いて行く。周囲はうっそうとした原生林。おそらく下手に森に入れば忽ちヒルに襲われるだろう。大型の野生動物にもヒルがついていたりするからな要注意だ。
ガサササッ!
そんなことを考えながら歩いていると!野生の何かが森から飛び出てきた!(謎のBGM)
「え?なに?どっかから謎のBGMが!」
「私何もしてないんだけどなぁ。」
女神が応じたそのとき、舞い上がった葉っぱが地面におち、姿を視認する。一見普通の木こりのようだが!
「こんなところをお散歩かぁ?運が悪かったな!俺こそが木こりのチェーンソーマンだ!」
ブオン!ブオン!ブォォォーン!
エンジン音を高鳴らせ周囲の木々を切り始める!
「見よ!俺の木こり術をぉぉぉぉ!」
メキキキキ・・・ドドーン!
「俺にかかれば大木だってイチコロよ!ってあれ?消えた!」
~数分前~
「なんか襲ってくるのかと思ったけど・・・。」
「急に切り出したな。」
「木こりの血が騒いでおったのじゃろう。」
「今のうちに行きませんか?」
「「「そうだな」」」
~いま~
「何だったんだろうなあれ?」
「寂しかったのかも?」
「じゃあもう少し居てあげた方が良かったかしら?」
「しかし今は依頼をこなすのが先じゃろうて。」
ドドーン・・・・・・
遠くで大きな音が鳴る。おそらくはあの木こりが伐採したのだろう。適度な間伐は森の新陳代謝を高める。頑張ってほしいものだ。
おそらく中間地点付近まで来ただろうか。湖と草原が広がる場所に出る。この先はまたうっそうとした森なのでここで一泊だな。
「こんなところで寝るの?」
「心配するな。こんなこともあろうかとテントは持ってきている。」
「さっすがー!」
ふふ。神殿を出る際に一人用のテントを買っておいて正解だったぜ。適当な場所にテントを敷き、寝袋を置く。
「ねぇ山田、これ一人用じゃないの?」
「そうだが?」
「私たちの分が無いじゃない!」
「そりゃあ神殿を出たときに買ったものだから一人キャンプ用だし・・・」
「えー女神である私に地面で雑魚寝しろって言うの!?」
「女神なら神の力でなんか作れるやろ・・・?」
「うっ・・・」
「駄目よ。タローさん。この鰯女神は魔法の類いは下手でね、神界では落ちこぼれらしいのよー。あはははは!」
あっ女神が涙目になった。
「まぁそんな泣きべそかきな、駄女神様の為に私が一肌脱いであげるわ!神官!」
「応!」
二人が気合いを入れ、森に向かう。何が始まるのかと眺めていると・・・。
「はぁぁぁぁぁ!」
「ほぉぉぉぉぉ!」
キュピーン!
二人の目が光ったかと思うとキュティが素手で木を切り倒し始めたではありませんか!ああ!神官は地面をえぐって整地してるぅ!ちゃんと小石と礎石置いて基礎作ってるし!
キュティがチョップで枝打ちした丸太を投げるとそれに呼応し、神官が角材と柾目板に成形したかと思えば、あっという間に家が組み上がって行く。屋根は流石に板葺きのようだが、テントなどよりよっぽど快適そうだ・・・。仕上げとばかりに露天風呂と笹垣まで・・・。
「あんたら何者だ?」
「ただの神官と、美人な巫女様よ!」
「いやぜってぇちげぇから!普通の人間がこんなことできねえって!」
「毎日丸太を手刀で切る修行してただけだもの・・・」
くそ!常識が通用しない!これが異世界人か!
「いや、こいつらが異常なだけだからね?」
「くそー!俺もいつかは!」
「覚醒できればあり得るかもね?」
女神の意味深な言葉に反応するも、再び答えることはなく玄関をくぐる。この覚醒がなんなのかいつかわかるときが来るのだろうか?
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