第2話
〜どっかの神殿〜
「神官様ー!大変ですー!」
「貴様ー!また寝坊しおったな!」
「まだお勤め前ですよー!じゃなくて!聖堂が!ひ、光ってるんです!」
「な、なん・・・だと!?」
神官と呼ばれた男は朝の滝行の褌姿のまま聖堂に駆け出す!
「ぬおー!本当じゃあ!聖堂の中からレインボーな光が漏れておる!」
「神官様!久しぶりに神様が降りてきたんでしょうか!?」
「しらぬわー!ぬおおおお!」
ドゴォォォン!
鋼鉄製の扉を勢いよく弾き飛ばし、聖堂に入った神官が固まる。
「神官様!天井からおっさんが!」
「うおー!降りてくるのは美少女にしてほしかった!」
「このアホ神官様!そんなこと言ってる場合か!」
「何じゃとー!巫女の分際で神官のワシを愚弄するか!」
ギャイギャイ!
降りてきた山田には目もくれず口論を始める。
「・・・こういうのってもうちょい真摯な対応してくれるんじゃないのか?」
山田の声に巫女と呼ばれた少女が反応する。
「あなたは?なんで落ちてきたの?」
「俺は山田太郎。なんか変な奴に異世界転生させられた。それよりあんたは?んでここは?」
「へー転生?よくわかんないけど、よろしく。私はキュティ。ここはイワシ神殿よ。」
「そしてワシがこの神殿の責任者である神官のササキだ。よろしく」
イワシ神殿?イワシってあの鰯か?
「イワシは海にいる魚よ。美味しいから祀られてるの。」
「そ、そうか!」
「して山田太郎殿は、何か使命とかでこちらに転生?してこられたのか?」
「いや、知らん。気がついたら飛ばされた。」
その時!奥のイワシ像が光る!今度は金ぴかだ!
「それは私が教えてあげるわ。」
中から俺をこの世界に送り込みやがった張本人が現れる。
「あぁ!これは神様???イワシ神様!お久しぶりです!」
「鰯じゃないわよ!イワンよ!それに一昨日も会ったわよ!」
「古文書が汚くてンがシに見えたんじゃよ。はて一昨日?二ヶ月前でしたが。」
「あー字が汚い系女神って訳ね。」
「汚くないわよ!これでも書道2級なのよ!そもそもその古文書も私が書いたものじゃないから!」
「2級って上手いのか?」
「さぁ?私は書道の段位とか知りませんから!」
ちっとも褒められない上に、崇められないからか鰯様が怒り出す。あんまり怒るとDHAとかEPAが漏れ出してしまうぞ?しらんけど。
「しらんのかい!」
「なに!?俺の心の声を聞きやがっただと!?」
「これでも女神ですからね!これくらい朝飯前よ。」
薄い胸をのけぞらせて威張る。もう少しでていれば良かったのに惜しいな。
「また!また!また!失礼なこと考えてるんじゃないわよ!セクハラよ!」
「しまった!こいつは俺の思考を読めるんだ!くそー貧乳女神のくせに!」
「言いたいこと言ってんじゃないわよ!私は女神だから動きやすいように今だけ薄くしているのよ!」
「ははは。まあそういうことにしておくさ。」
「莫迦にしてんじゃないわよー!」
ギャギャギャのギャイ
「話が進まんのう・・・。」
「あーもう!二人とも!うるさいです!」
ドス!ゴキッ!
女神の腹に拳が!続いて俺の左肩を外す!
「ゲホッ!ゴホッ!おげぇー」
「ぎぃやあああああああ!痛ぇええ!」
ゴキン!
「ふぅふぅ!何しやがる!」
「あんたらやかましくて話が進まないから!黙ってもらっただけよ!」
「何だとこの阿婆擦れ巫女め!」
「なに?またはずそうか?」
「ごめんなさい・・・」
女神と俺は巫女の前に正座させられる。
「で?女神様はこのおっさんをどうして連れてこられたのですか?」
「パッションを解放したいって言うから!」
「「「は?」」」
「え?だってこの男が溜まったパションをはじけさせたいって言ったんだもん!」
「いや・・・まあ言ったのは間違いない。で、転生させるくらいだ。なんかやることでもあるのか?」
「んー今のところはないかなー。」
「ないのかよぉぉぉぉ!」
神官と巫女が話しについて行けないようで呆然と眺めてくる。とりあえずこの世界に馴染むよう女神に言い渡され、身柄を神官に預けられた。
「じゃぁねー。私はこれからサツマイモの種芋買いに行くからよろぴこ!」
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