なんでこんな世界に転生してしまったんだ!

海胆の人

第1話

 俺は山田太郎。どこにでもいるくたびれたおっさんだ。

 今日もクソみたいな上司とクソ以下のクレーマーとを相手にフラストレーションが有頂天だ。そんな俺を癒やしてくれるのが、この小汚え居酒屋のハイボールだ。

 

「おいおいお客さん、小汚えは無いやろ?これでもちゃんと掃除してんねんで!」

「なに!?俺の心の声を!?おっさんもしや心を読めるのか!?」

「いやいや、お客さんさっきからめっちゃでかい声で言うてますがな!」

「なんだと!?むしろ俺が悟られだったのか!?」

「いや、だからめっちゃでかい独り言なんやって!」


 こうしてはいられない。このままではまた、心を読まれてしまう!

 酒代を置き急いで店を出る。


「クソッ!どこもここもフラストレーションが溜まるばかりだ!どこか!俺の!フラストレーションを!発散できる!世界は無いのかー!!!!」



「ある。と言ったらどうなるのかしら?」

「は?あんたは?」

「質問してるのはこっち。あんたに質問する資格はないの。もういいわ。あんたの望んだ世界に転生させてあげる。」


 転生!?そんなもの、今どきのラノベのようなことが!と思うまもなく視界がレインボーに輝き出す。そして俺は意識を失った。

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