第12話:トリプルデート(熟女しかいないよ!)
待ち合わせ場所は駅前だった。
5月の日曜日。その日はまだ肌寒く、ボクは軽く厚着をしていた。
辺りには当然のようにカップルがいて、何だか場違い感がある。……でも、これからボクは女の子とデートするんだもんね(全員熟女だけど)
……最初に来たのは洋子先生だった。
「お待たせー。待ったかしら」
「大丈夫ですよ。ボクも数分前に来たところですから」
「エラいわね。待ち合わせの10分前に
来るなんて……先生感心しちゃう♡」
清楚な雰囲気のある色の濃い黒髪ロングに似合うような、クリーム色のケーブルニットワンピースを着てきた洋子先生。服の下からチラリと見える黒いタイツが何とも艶かしい。全体的に落ち着いた雰囲気のある。変にキャピキャピしていない服装だ。
「まだ私達しか着てないのね」
「そうですね……まあ、まだ待ち合わせ時間前ですし、ボク達が早すぎるだけかもです」
すると洋子先生がご自慢のタレ目をキュッと結び。色っぽい口調でこう言う。
「ね、もう二人で出掛けない? 特に美玲先生はほっといて……♡ オバサンが大人のアレコレ教えてあげる♡」
「で、でも……」
「大丈夫大丈夫♡ ほら、行きましょ♡」
洋子先生はボクと二人っきりでデートしたいようで、二人の到着を待たずして先に進もうとする。
そんな時美玲先生がやってくる。
「あら、もうアナタ達来てたのね」
「……チッ」
「ちょっと?! 洋子、アンタ今舌打ちしたでしょ! 態度悪いわよっ」
「すみませんねえ。歯に物が挟まったようでして……おほほ、失礼しましたわぁ 」
「ムカつくー。……てか、なんで休日までアンタと一緒に出かけなきゃいけないのよ……」
「あら、嫌ならもう帰ってもいいのですよ? 私は三島クンと一緒にタノシイことしますから♡ うふふ、終わる頃には私の凄テクで腰砕けになってるでしょうけど♡」
「はぁぁぁぁっ? なんなのソレ……! そんなん言うならますます帰る訳にはいかないわね。アンタがふしだらな事しないように、監視しなきゃ。それが教師としての責任よ」
二人はバチバチとお互いに睨み合い。
視線の間から火花を散らしている。
相変わらず仲良いなぁこの
みなみに美玲先生はフォーマルな服装だ。クールな雰囲気のあるデコ出し青髪ボブカットに似合う、白のブラウスにスーツスタイルのスカート。まるで会社にいるイジワル女上司のようだ。
「この清楚系ビッチが」
「
「オサケ!」
「サディスト」
二人が罵り合うなかで。
ようやく明穂先生が到着した。
「やぁ少年。……おろ、私が一番最後かね」
「まあ、そうですね。でも待ち合わせ時間ピッタリですし、この時間に来るのが一番普通ですよ」
「そうかなぁ。
おや、また二人は喧嘩しているのか」
「あはは……仲良しですよねぇ」
「ふふ、いい事だよ」
明穂先生も到着し。
早速ボクらはトリプルデートをする事になった。ちなみに明穂先生は長袖Tシャツにジーンズという、言ってしまえば地味目の服装だった。まあ、それでも明穂先生は可愛いので似合っているのだけど。
お昼時という事もあり。
ボクらは取り敢えず昼食をとることにした。駅前なので辺りにはファミレスやラーメン屋さん、ハンバーガー屋さんなど。様々な飲食店が並んでいた。……ここでも例の二人は喧嘩を始める。
「ここのラーメン屋さん美味しいのよね」
「ぷっ、美玲先生ったら……デートでラーメン屋はないですよぉ♡ あ、まあしょうがないですよね、先生はデートのご経験がないですからねぇ」
「はぁぁぁぁっ??? わ、私にだってデートの経験くらいあるわよっ」
「どうせ彼氏に首輪をつけて散歩させたとかでしょ」
「……っ」
「ヤダ、図星なんですか〜〜?♡ キャーー♡ オマワ・リサンコッチ♡」
「るっさいわね! 昔の話よっ。それに、向こうがしたいって言ったんだからっ」
ギャーギャー騒ぎながら。
ボクらは歩く。
そんな時明穂先生がボクに話しかけてくる。
「これちかくーん」
「はい、なんですか?」
「ふふ、呼んだだけさ」
「なんですかそれー。もぉ」
「あははっ……」
明穂先生はにへらと笑い。
茶髪ポニテを犬のしっぽのようにブンブン回していた。何だか可愛い。
結局ボクらは近くのファミレスで食事をする事になった。お店に入る時、店員さんがギョッとした顔をした気がしたけど、気の所為だよね……。
「三島クン♡ 明穂先生ー、何でも好きな料理頼んでいいのよ? 今日の会計は全部美玲先生が払ってくれるから♡」
「はぁぁぁっっ???!!! いつから私がそんな事言ったのよ! いや、三島君の分は流石に払うけど……」
「あら、一番年上が全て払うものではぁ? 社会人じゃ当然のルールですよぉ?」
「うっせーわっ! アンタ達大人なんだから自分で食べた分は自分で払いなさいよっ」
「わ、私は最初からそのつもりですがねぇ……あ、惟幾君お水注いであげようか?」
ヒロ○カも腰を抜かすほどの個性を爆発させる三人。ボクは明穂先生に入れてもらったお水を飲みながら辺りを見回す。
美人三人に囲まれる高校生が一人。他のお客さんにはボクがどう見えているのだろうか。家族? 友人? 恋人ってのは流石にないだろうけど。
「ボク、グラタン食べたいです」
「うふふ♡ じゃあ私も同じので。三島クンと同じの食べたいから♡」
「はぁぁっ? な、なら私もグラタンっ」
「あらあら美玲先生。そんなに人の真似ばかりしていると馬鹿になっちゃいますよ? ああ、元々かぁ」
「……その言葉、アンタにも言えるでしょ」
「私はスパゲディでー……おや惟幾君、水がこぼれてるぞ。ほら、拭いてあげよう」
ボクと洋子先生、それから美玲先生がグラタンを頼み、明穂先生がスパゲディを頼むことになった。早速注文を済ませ、数十分後、料理が運ばれてくる。
「わぁ、美味しそう」
「うふふ、アツアツね」
「早速いただくわ」
ホカホカのグラタン。
トロッとしたチーズがこれでもかと乗っており、上に乗っているマカロニや海老も見栄えをよくしていた。
「んーっ、このグラタンおいしーわ!」
美味しそうに美玲先生がグラタンを食べている。……と、その時洋子先生がニシシっと笑う。絶対何かよからぬ事を考えてるよね。
「美玲先生〜♡ あ、あんな所にフェルマーの最終定理が落ちてますよ〜」
「え?! どこどこ!」
数学教師のサガか。
美玲先生がよそ見をしている間に、洋子先生が美玲先生のグラタンに激辛ソースを入れた。美玲先生は気付いていない様子だ。
「ごめんなさ〜い♡ 見間違えでしたぁ」
「な、何なのよ……もぉ」
美玲先生が再びグラタンに口をつける。
刹那、彼女の顔が真っ赤になって。
洋子先生がニヤリと笑う。
「ぎゃーーすっっっ!!!」
「あははははっ♡ 変な声〜♡」
「あ、アンダっ、なにじだのっ、ごほごほ」
「お、この激辛ソース美味しいな。もっとかけよう。惟幾君はいるかね」
「いや、いりません」
そんなこんなで楽しい食事を済ませ。
いよいよ本格的なデートが始まった。
皆でバスに乗り、水族館に行く。
バスの一番後ろの席にボクらは座った。洋子先生と美玲先生は何故か隣に座り、窓際に座る明穂先生と隣にボクが座る。
「ふふ……」
「明穂先生、何だか楽しそう」
「そう、かな。……うむ」
明穂先生は終始笑顔だった。
そんなに水族館が楽しみなのかな。
そんなこんなで水族館に着く。
デートだからボクが女の子三人分の入場料を払えればいいんだけど、流石に高校生に払わせる訳にはいかないと、先生方は個人個人でお金を払ったし、僕の分は美玲先生が払ってくれた。
「わぁ……拾いなぁ」
「水族館なんて何十年ぶりかしら」
「綺麗ねぇ……♡」
「……」
長い一下り道の横には既に魚が泳いでおり、ボクらが進めば進むほど、まるで少しずつ海の中に潜り込んでいくように水槽の高さも変わっていく。
先に進んでいくと、トンネルのような場所に辿り着いた。この場所は大変驚いた。だって、天井や壁だけじゃなく、床も大きな水槽になっており、360度全てを見回しても魚が泳いでいるのだから。……少し怖いけど、迫力がある。
「わっ、マグロだ」
「あら、本当ね。三島クンマグロは初めて見た?」
「うーん、見たような気もするし、そうじゃなかったような……」
「せいぜい目に焼き付けておくのね。生きてるマグロなんて見る機会もあまりないでしょうし」
「生きてるドS教師もですねぇ」
「はぁぁぁっ? うるさいわね、生きてる清楚系ビッチっ」
清楚系なのは認めてるんだ。
なんてボクは思いつつ。
ぽやりと水槽の一点を見つめてる明穂先生に話しかける。
「明穂先生、何見てるんですか?」
「あ、ああ……ここにクラゲがいてな。何だか可愛いから見てたのだよ」
「先生はクラゲが好きなんですか」
「動きがスローな生き物が好きなのだよ」
「なるほど」
先生自身も動きがスローだし。
何か通じるものがあるのかもしれない。
それからボク達は色々な場所を見た。
海水魚コーナーから、淡水魚コーナー。
もちろんクラゲコーナーも見た。
道中相変わらず洋子先生と美玲先生は喧嘩ばかりだったが、そんな様子を明穂先生はニコニコしながら眺めていた。
……と、そんな時ボクは面白いものを発見した。
「あ、ドクターフィッシュの足湯コーナーがありますよ。やってみましょう」
「あら♡ 楽しそうね」
「えー、なになに。魚に足を舐められるの? なんか屈辱的なんですけど……」
「まあいいではないですか。やってみましょう」
まずはボクが足湯に浸かってみる。
すぐにドクターフィッシュが群がってきた。瞬間、こそばゆい感覚がする。
「うひゃっ、これは……」
小さな魚が何十匹もボクの足に食らいつく。くすぐったいけど、何だかクセになる。
「先生も入ろーっと」
次に洋子先生が入ってきた。
ドクターフィッシュが洋子先生の足に群がる。瞬間、彼女がエロティックな声を漏らした。
「あっ、あんっ♡ んっぁっ、やぁっ♡」
「ちょ、洋子?! なんちゅう声漏らしてんのよっ」
「だってぇ♡ やぁ、あんっ♡ だめぇ♡」
「ご、ごくり……」
四十路にしか出せない大人びた色っぽい声に、周りの男性が股間を隠し始めた。それをゼロ距離で聞いたボクなんかは、もうおかしくなりそうだった。
「わ、私も入るわっ」
美玲先生が恐る恐る水槽の中に足を入れる。すると、洋子先生に群がってたドクターフィッシュ達が皆一斉に美玲先生のほうに向かっていった。
「ぐっ、んんっ♡ な、なにこれ……んっ、魚のクセに生意気っ……♡ 凄テクすぎっ」
「やぁんっ♡ あっあっあっ♡ らめぇ♡」
ドクターフィッシュの凄テクに翻弄される熟女達。もう訳が分からないほどエロい空間になってしまった。周りの男性達もトイレに駆け込んでしまったようだし。
「先生達……何してるんですかっ」
「ふむ、私も入ろうかな」
「明穂先生、気を付けてくださいね」
「うむ、気を付けよう」
ボクの隣で明穂先生が生足を露出する。
綺麗な五本指だ。足裏はほんのりと赤く火照っており、ピンク色の爪が可愛らしい。親指にある小さなホクロが少しエッチだ。
「……お、魚が寄ってきたぞ」
「おー、でもそんなに沢山が来ませんね。先生の足綺麗なんですかね」
「むぅ、まあ一応朝風呂に入ったからなぁ」
「え、なんで朝風呂?」
「え、嫌だって……」
明穂先生はほんのり頬を染め。
「デート、なんだろう……? 男の子の前では、少しでも綺麗でいたいのさ」
「……」
この先生が一番乙女じゃねぇか。
と、思う僕だった。
しばらくドクターフィッシュを堪能する。
相変わらず洋子先生と美玲先生は喧嘩し合っている。その様子を明穂先生はニコニコ笑いながら見ていた。不思議に思い、ボクはこう訊いてみる。
「先生、何がそんなに楽しいのですか」
「ん? ああ……なんか、久し振りだなと思ってな」
「久し振り?」
「ああ。こうして、誰かと一緒に休日を過ごすのがな……」
「いつも1人なんですか?」
「ああ。人と群れるのは好きではないからな」
なのにどうして先生は今日来たのだろうか。不思議に思うボクだった。
明穂先生はしみじみとこう言った。
「ま、たまにはこういうのもいいもんだな。意外と楽しかったよ、今日は」
そういう先生の顔は。
口に出した言葉より何倍も楽しそうだった。何だかこっちまで嬉しくなっちゃうな。
こうして、ボク達のトリプルデートは終わった。色々あったけど、全体的に楽しかったな。またいつか、こんな風に皆で遊べたらいいなぁ。
そんな事を思い。
自然と笑顔になるボクだった。
熟女に勝るモノはない!──色んな熟女とあまあまライフっ!♡ まちだ きい(旧神邪エリス) @omura_eas
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