第9話:洋子先生のおっ○い

「なぁ、惟幾。お前最近様子変わったよな」

「そ、そうかな」


 友人の男子にそう言われ、ボクは困惑してしまった。様子が変わったっていっても、思い当たる節がないのだけど。


「なんかさ、彼女でも出来たって感じだよ」

「か、彼女?! そ、そんなのいないよぉ」

「えー、ホントか? ならいいけどさぁ」


 全く、驚かさないでくれよ。

 ボクに彼女が出来るわけないし!

 それに、ボクモテないし……。


「ボクが女の子に好かれると思う?」

「んー、まあな。あんまりクラスの女子に話しかけられてるのは見たことないかも」

「でしょ? もぉ、変な事言わないでよ」

「ゴメンって! はぁ、でもなー。彼女欲しいよなー」

「ん、まーねぇ」


 『彼女』……なんて魅力的な言葉なんだ。

 ボクはその人の事が好きで、その人もボクの事が好きで。そしてイチャイチャと甘ったるいイチャラブライフを送るんだ。……ああっ、想像しただけでもっ。


 と、その時友人が鼻を伸ばしながら。


「彼女が出来たらさー、一度でいいからおっ○い揉みたいなー」

「お、おっ○い?!」

「ああ、だから俺は巨乳の彼女が欲しいぜ。惟幾もそうだろ?」

「うーんと……」


 確かにお、おっ○いは魅力的だけど。

 そんな理由で彼女を作るのもなぁ。

 まあ好きだけど? そーゆーの。


「ボクはそういうのいいかなー。ただ一緒にいられるだけで……」

「ウワーっ、お前どんだけ草食系なんだよ。そんなんじゃ一生彼女出来ないぞー?」

「そ、そかな。ウーム……」


 友人におちょくられ。

 複雑な気分になるボクだった。


※※※


「あら、三島クンいらっしゃい♡」

「こんにちは、洋子先生」


 最近、ボクはよく保健室に行くようになった。この前風邪を引いた時に優しくしてくれたから、何だかまた洋子先生に会いたくなってしまって。


「お紅茶飲むかしら」

「あ、ありがとうございます……」

「ふふ、待ってて。今入れるから」


 洋子先生は戸棚からティーパックを取り出し、ボクの為に紅茶を入れてくれた。

 

「いただきます……」

「召し上がれ」


 一口飲む。

 程よい渋みと、ほんのりとした甘みが口の中で広がる。赤茶色に輝く水面が、カップを持つ度にゆらゆらと揺れる。上品な香りも相まって、とても美味しかった。


「ふふ、美味しそうな顔……♡」

「とっても美味しいです……先生の紅茶」「それは良かったわ♡ 沢山余ってるから、飲みたい時はいつでもいらっしゃい……?」

「は、はい」


 洋子先生は頬ずえをつき。

 ボクの事をうっとりした目で見ていた。

 ……と、その時ボクの目にあるものが映る。


「どうしたのかしら」

「……っ、い、いえ」


 洋子先生の着ているニット越しに膨らむ大きなおっ○い……両手で掴みきれないくらいたわわに実ってる。

 さっき友達と変な話したから、余計に意識してしまう。ついつい視線が胸のほうにいってしまうよ……!


「っ……」

「アラ♡」


 洋子先生は視線に気付いた様子で。

 ニッコリと妖美に微笑む。


「ごめんなさいっ」

「いーのよ? 男の子だもんね」

「す、すみません」

「ふふ、反応可愛いわねー♡」


 そういうと洋子先生はボクのほうに近付いてきて。


「えい♡」

「むぁっ」

「ほれほれ、おっ○いでギューってしてあげるわよぉ♡」


 ボクの顔におっ○いを押し付けてきた。

 もちろん服越しだけど。

 柔らかい感触が顔に伝わる。

 谷間の間は温かくて、いい匂いもする。

 しかも、洋子先生はなでなでもプラスしてくるもんだから、余計にドキドキしてしまう。


「なーでなで♡ なーでなで♡ いい子いい子♡ 君は可愛いわねぇ……」

「むわっ、やめっ」

「はぁぁ、持って帰りたいわぁ♡ そのままイロイロお世話してあげたい♡」

「い、イロイロってっ、なにを?!」

「ふふ、何かしらねー♡」


 洋子先生のあまあまハグを数十分食らい。

 すっかり放心状態になるボク。


「うふふ、すっかりおっ○いのトリコになったわね。私の、そんなに好き?」

「ひゃぁ、ふぁ」

「ふふ、もう物も言えなくなってるわね」


 洋子先生のおっ○いが柔らかすぎて。

 頭がふわふわしてくる。

 何も考えられない。彼女が最高すぎる事しか考えられない。


「トロトロなお顔のボーヤ♡ まだお昼休み終わらないわよね。今日はオバサンがいっぱい御奉仕してあげる♡ 若い子がしてくれないような凄いこと、たっくさんしてあげるからね♡」

「な、何をする気ですかっ」

「そりゃ、まあ、イロイロ?♡」


 ヤ、ヤバい。

 このままじゃ洋子先生の凄テクで腰砕けにされてしまう。逃げなきゃ!


「ボク失礼しますっ!」

「やんっ、逃げちゃダメ♡」


 洋子先生に手を掴まれてしまった。

 ニタリニタリといやらしく笑う洋子先生。

 もうダメだ! そう思ったその時だった。



「アンタ何やってるの……?」

「美玲先生!」 


 保健室のドアから美玲先生が入ってきた。

 堪らずボクは彼女のもとに駆け寄る。

 洋子先生は悔しそうに歯ぎしりをして。


「うぅ、もう少しだったのに」

「嫌な予感的中ね。ここに来て良かったわ」

「美玲せんせぇ」

「ふふ、危ないところだったわね。私に感謝しなさい? ……ということでこの子は貰っていくから。じゃね、ヨーコせんせ♡」


 何とか危機を乗り越え。

 ボクは美玲先生の後に付いていくのだった。……もっとも、それから地獄の個人授業があったので、結局酷い目に遭うのだけど。

 トホホ、こんな事なら洋子先生に襲われてれば良かったかも。なんてね。

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