9.正体不明のボス戦 (その1)
(前回までのあらすじ)
紆余曲折を乗り越えて、危険薬物【ナイトアイ】の生産拠点を突き止めたグラランず。しかし、犯人を誤認している上に、重要なヒントも聞き逃してしまう。
挙げ句の果てに魔物知識判定で
なぜこんなところに蛮族がいるのか?
蛮族と今回の事件の関わりは?
そもそもどんな蛮族なのか?
何もわからないまま、グラランずは蛮族たちと戦い始める。
蛮族、死すべし慈悲はない。
GM「戦闘に入るので状況を説明するね。まず彼我距離は25m。敵はひとかたまりになっていて4体。ボスッポイノと推定人間、それからフーグル種の魔物が2体。人間以外のキャラクターは飛行しているよ」
【フーグル】
コウモリのような翼を持つ蛮族。
飛行することで近接戦闘における優位を取れる能力がある。
人間同様に格闘戦に特化したり、魔法を使うものなど様々な種類がいる。
GM「今回のフーグル2体はそれぞれ別の種類。格闘戦のフーグルアサルターと魔法を使うフーグルマンサーだ。」
GM「それじゃあまずは先制判定を振って君たちと蛮族のどちらが先手を取るか決めよう」
ゾーラ「その直前にうちが動くわ。戦闘準備で【ディフェンススタンス】をつこうて、各種判定にペナルティを受けるのと引き換えに回避力を引き上げさせてもらいます」
GM「ちょ、ちょっと待って。それじゃあ先制判定にもペナルティが入っちゃうんじゃないかな」
ミエン「いや、その心配はいらない。【ディフェンススタンス】には
GM「知らなかった、そんなの…」
判定の結果、ラルが先制に成功し、グラランずが先攻をとります。
ニーナ「フーグルアサルターに【狙撃】で狙いをつけるよ」
フーグル種の魔物は空を飛ぶことで近接戦闘の優位を取れますが、ニーナとラルはクロスボウによる遠隔攻撃が主体のため、飛行状態に影響されることなく攻撃できます。
ミエン「とりあえずレジスタンスの【呪歌】を歌うよ」
ミエンが歌ったのは抵抗力を高める歌です。
ラル「25mか。ん、射程届かないな?」
彼我距離が十分にあるためラルのリピータークロスボウでは攻撃が届きません。
ラル「それならこうしよう。制限移動で3mだけ前進しつつAランクの【ヴォーパル・ウェポン】でニーナの狙撃に錬金術による強化を授けよう」
同じクロスボウシューターでも狙撃一点特化で一芸を極めたニーナと違い、斥候・錬金術・練体士など複数の技能で多彩な立ち回りを見せます。
クロスボウ使いが2人いるのを見た時はキャラが被ってるように感じたけれど、だいぶ立ち回りが異なるようです。
さて、後衛組の行動が終わりました。
リピータークロスボウの射程外の敵を前に前衛は何もできずに手番を回してくるはず…
ゾーラ「25mやろ? それなら普通に走って届くわぁ」
は?
た、確かにジエンの移動力は1ラウンドに30mまで走れます。
クロスボウの射程外の敵陣まで一手で乗り込んで乱戦になります。
ゾーラ「 当たりそうなとこから攻めよか。…魔法使い系のフーグルは近接戦闘力は低めやったわなあ」
ゾーラは【ディフェンス・スタンス】により回避に集中しているため命中判定には大幅なペナルティがあります。
しかし、回避の低いフーグルマンサーを狙い見事にペナルティを受けたまま攻撃を当てます。
さて今度は蛮族側の行動です。
とはいえ、困ったな。
ニーナが単騎で乗り込んできたことで常時効果の特技【ブロッキング】によって蛮族たちはニーナを無視して後衛へと乗り込むためには手番を放棄しなければいけません。
かといってニーナに攻撃が当たるかと言うと大幅な回避ボーナスを得ている彼女に命中させるのは至難の技です。
これが知能の低い集団であれば当たらないニーナとごちゃごちゃ戦うんでしょうけど、ルールブックによれば彼らの知性は人間並に高いため、戦い方を考えることになります。
GM「それじゃあ推定人間だった蛮族が本性を表すよ。こいつはレッサーオーガ。人間に化けることができる魔物だ。更に魔法を行使することもできる」
GM「レッサーオーガは魔法文明語で呪文の詠唱を始める。唱える呪文は【ナップ】だ!」
【ナップ】
対象のキャラクターを眠らせて一時的に無力化する魔法。
プレイヤー「催眠魔法!?」「普通は攻撃魔法とかだろ!」「GMの戦い方が小狡い」
攻撃魔法を選択しても良いのですが、
グラスランナーは種族特性により魔法への強い抵抗力を持っています。
仮に攻撃魔法を放ってもミエンの歌う【レジスタンス】の呪歌によって抵抗力を引き上げられている現状、よほど運が良くなければダメージが通ることはありません。
もちろんそれは【ナップ】も同じことです。
しかしもし運良く魔法がかかった場合の成果には天と地ほどの差があります。
かかったのが攻撃魔法であればジエンのHPが減るだけですが、睡眠魔法が通ったなら【ブロッキング】による足止めをされている状況が覆るので、回避能力を持たない後衛組へとボスやフーグルアサルターが直接乗り込んで暴れることができます。
さあ、ゾーラ。覚悟して抵抗してみろ!
ゾーラ「グラスランナーは眠りまへん!」
コロコロ…
結果はナップへの抵抗に成功。
前衛のゾーラが落ちることはありませんできた。
しかし魔法使い系はレッサーオーガだけではないぞ!
GM「続いてフーグルマンサーの行動だ。ただこいつは知能が高い方ではないのでさっきみたいに難しい理屈を考えてナップを撃つのは不自然だ」
プレイヤー「よかった。勝ちに固執するあまり、絡め手を連打するGMはいなかったんだね」
GM「フーグルマンサーは単純なので難しい理屈を考えてナップを使う事はない。ただ、自分より立場が上の魔法使いがナップを唱えたのを見ていたので真似して自分もナップを唱えるよ」
プレイヤー「卑怯だぞ!」「GMの主張がマンチキン」
なんとでもいえ!
催眠魔法を喰らえ〜!
ゾーラ「それも抵抗やね」
まあ、攻撃しても当たらず攻撃魔法も通らない前提で「ラッキーパンチが通った時に一番得する行動」として選んでいるから、通るわけがないんですよね。
残るはボスッポイノとフーグルアサルター。
GM「フーグルアサルターは軌道飛行の能力で近接戦闘性能を高めて、命中力15の攻撃をするよ」
ゾーラ「 ほんなら回避振って…回避力21点。 あ、ディフェンススタンス忘れてたわ。25点やな」
プレイヤー「うわぁ…」「なんだあれ」
ジエンの装備品「ブレードスカート」は相手の命中力に対して4点以上の差をつけて回避した際に反撃を行う効果があります。
十分な値が出ているので反撃が発生します。
続いてボスッポイノもゾーラに攻撃しますが当たる事はなくブレードスカートによる反撃を受けてしまいます。
しかし、反撃のダメージはほとんどボスに通りません。
ボスッポイノ「こんなんかゆいわ。未だ勝ちの目あるな(慢心)」
さて、敵味方の手番が終わって1ラウンド目が終了しました。
敵のHPはほとんど減っていません。
じゃあ不利なのかと言われるとそんな事はなくてグラランず側も今のところ無傷。
グラスランナーは性能がピーキーなのでどうしても戦闘が0か100かになって間の50くらいがないんですよね。
こんなので戦闘終わるのかな?
次回、2ラウンド目へ続きます。
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