7.グラランず、裏家業しぐさが板につく。

(前回までのあらすじ)

危険薬物【ナイトアイ】を街に広める黒幕を探すグラランず。闇市で【ナイトアイ】の転売をしていたエルフを引っ捕らえます。



ラル「川は上流から下流に流れるものだからね、この薬という川はどこから流れてるのか、話してくれるかい?」


転売エルフ「えっと、それは…」


ゾーラ「このまま身ぐるみ剥がれてゴミ捨て場に放られたくないやんね?」


転売エルフ「話します、話します! 薬は枯れた遺跡で売ってたのを150Gで買ったんです」


ニーナ「枯れた遺跡?」


ラル「入門街区、かな」


転売エルフ 「ですぅ~。いやほんと私は知らないんですよ。それ以上の詳しいことは。」


【入門街区の枯れた遺跡】

グランゼール王国の新米冒険者たちが経験を積むために過ごす地区には、かつて滅んだ文明の遺跡などがある。既に残された宝物などは取り尽くされて、探索する者がいなくなった遺跡は枯れた遺跡と呼ばれる。


転売エルフ「枯れた遺跡でですね。噂のナイトアイを売ってるところをね見ちゃったんですよ。それでいっちょ自分も一枚噛んでやろうかって」


ゾーラ「まあ、あんたが薬売るのは勝手やけど、遺跡とうぞくギルドの許可もなしでこんなところで商売してたのは悪いことやんなあ」


ニーナ「お金に対する嗅覚の鋭さはすごいかもしれない。こいつはBIGになりそう」


グラランずは転売エルフをこの後どうするかで相談し、売人本人ではなく転売ヤーだったことを理由に遺跡ギルドにつきださないことにします。


ニーナ「私達、冒険者やってるから~あの…なんだっけ。ギルドの名前忘れた」


転売エルフ「……?」


ニーナ「なんか、そういうところにいるから! なんかあったらほら。…えっと、なんていいたかったんだっけ」


ミエン「こいつ『』しか喋らねえな」


転売エルフ 「えっ、あの。官憲には突き出さないってことでいいんですか?」


ミエン「まあ転売ヤーを突き出してもね。また同じようなことしてたら今度こそお上に突き出すけど。とりあえず《女神の微笑み》亭に案内しよう」


GM「じゃあ君たちは転売エルフを連れて冒険者ギルドへ向かうよ。君たち絡みであることに同情されながら、ギルド職員さんは彼に新しい職を斡旋してくれる。冒険者ギルドの手伝いをしながら更正していくことになると思う。」


ニーナ「儲け話を察知する才覚だけは本物だったから、ギルドで成功するといいね」


時間も夜になったので一旦、仕切り直して翌日…。



ラル「さて、この【ナイトアイ】どうしてくれようか」


ニーナ「誰が飲む?」


ラル「どちらかと言えば前衛が飲むべきだろう」


ミエン「飲むなよ、絶対飲むなよ」


ゾーラ「まあ飲むのは夜になってからやわなぁ」


ニーナ 「これを薄めて目薬にできないものだろうか…」


GM「作り方を改良するならともかく飲み薬を薄めて目に差しても効かないと思うよ」


ミエン 「とりあえずどこかに持ち込んで薬について解析するなりして、調べようか」


GM「調べ物なら魔術師ギルドの図書館がいいんじゃないかな。薬の直接的な解析は日にちがかかると思うけど、自分たちで文献を調べることはできる」


一行は魔術師ギルドへと向かいます。


GM「図書館を利用しようとすると入場料を求められるよ」


プレイヤー「お金とるの?」「魔術師ギルドに所属してれば無料なんだろうけど部外者からはお金を取るんだろう」「現実の大学図書館なんかもそういう制度のところがあるよね」


ニーナ「ぱぱーーー」


ミエン 「はいはい。入場料は私が払うよ」


ラル「すまないね、自分も懐が心許なくて」


ゾーラ「困った時はお互い様やもんなー」←払ってもらう側


さて、ここで文献調査のためにサイコロを振って判定してもらうのですが…


ミエン「ここは図書館なんだろう? 司書に仕事をしてもらえば何も自分たちで調べる必要はないんじゃないか」


それでいいのか…と思うGMですが、シナリオを読むと司書さんと話す場合のイベントについて記述があります。

ちょうど良いのでその案を採用することにします。


司書「眠らずとも活動できて、暗いところで目が見えるようになる薬…ですか?」


ミエン「ああ、そういう薬についての情報を探しているんだが」


司書「その問い合わせは今月に入ってから2度目ですね」


ミエン「なんだって? 我々以外にも調べてるものがいたのか」


司書「月初なのでほぼ1ヶ月前のことですけど、魔術師ギルドに所属している学生が同じことを聞いてきました。」


ニーナ「あやしい」


ミエン「その学生、今は何をしているか分かるかな?」


司書「それが…以前は毎日のように熱心に図書館に通っていたんですが。その薬について調べにきたのを最後に見かけなくなって。心配していたんです」


ニーナ「ますますあやしい。犯人だよ、犯人」


この学生は関係者ではあるんだけど、犯人ではないんだよなあ…


ラル「うーん。どこに住んでるかわかれば訪ねられるんだけど…」


司書「ギルドの近くに住んでいると聞いたことがあるので調べれば住所は分かりますけど…」


ゾーラ「ほんなら、司書さん。私たちが行ってきて様子見てくるから」


一行は【ナイトアイ】について調べていたという学生を犯人と勘違いしたまま家へ赴きます。

うーむ。ちょっとまずい。


ニーナ「おじゃましまーす」


GM「返事はなく、扉には鍵がかかっているよ。【アンロック】や【ノッカー・ボム】の魔法が有れば鍵を開けられそうだけど君たちは魔法が使えない種族だから、そう言った手段は取れないね。帰った帰った」


ミエン「ここでノイズを演奏したら出てきてくれないかな」


ニーナ \ドンドンドンドンドン/


ゾーラ「返事がないなら、まずは扉開けなあかんねぇ」カチャカチャ


ジエンが解錠判定を成功させ鍵が開きます。


プレイヤーたち「というわけでグラスランナーなので好奇心のまま人の部屋に入ります」


GM 「許さないぞ。不法侵入グラスランナーどもめ」


中には人の気配はなし。グラランずは家探しを始めます。


ミエン 「様子を見て来ると言って聞き出した家を漁るなんて、どんどん言い訳がきかない状況になっていくな」


もう完全に冒険者ギルド側でなく遺跡とうぞくギルドのメンバーとしての側面が強く出ているグラスランナーたち。


家を捜索した結果、家主が書き残したメモを見つけます。

そこには【ナイトアイ】の製造法が記されていました。


プレイヤーたちは「容疑者、黒!」「これはもう物的証拠も出たし決まりだよ決まり!」「この学生が犯人!捕まえれば事件解決!」と大喜び。


…「実はこの学生は犯人じゃないよ」なんてGMから言うわけにもいかず、間違った推測のまま進むグラランずを止められません。


ミエン「作り方のメモまで見つかってしまった以上、どうやら黒幕はこの家の学生で決まりみたいだね」


ラル「メモによれば大量の綺麗な水を使って、色んな素材を煮込み、焦がさずぐつぐつしまくることでできるらしい。必要な素材もここに書いてある」


ゾーラ「たくさんの綺麗な水となると…」


ミエン 「ずっと水出してる魔剣の迷宮がなかったかな」


ラル 「えーっと……ああ、聞き覚えがあるよ。下町の方だった気がする」


おっと、GM側から出すはずの情報でしたがプレイヤーたちが泉の迷宮の存在に自力で気付きました。


【泉の迷宮】

迷宮王国グランゼールの下町にある迷宮のひとつ。こんこんと綺麗な水が湧き続けている。この迷宮の水を上層都市部に運んで売る「水売り」などが住んでいて生計を立てている。


ミエン 「枯れた遺跡は販売の拠点で、それとは別に製造の拠点が下町の【泉の迷宮】周辺にありそうだ。とりあえず下町を探ってみようか」


不法侵入グラランずは一足飛びに事件の核心へと近づいていきます。

犯人について大きな勘違いをしたまま…

次回いよいよ黒幕のいる薬物製造拠点へ!

(続く)

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