6.グラランず、闇市で黒い肌の男と出会う。

(前回までのあらすじ)

危険薬物【ナイトアイ】の行方を追うグラランず。

ついに【ナイトアイ】を売るものがいるという闇市の場所を突き止める。

果たして売人と遭遇することはできるのか?


というわけで、夕刻になり売人のいる闇市へと赴く一行。

売人を探して闇市を探索します。

そしてついに売人と重しき怪しげな男を見つけます。


プレイヤー「GM、それはどんな種族なの? まさかグラスランナーではないでしょ」

GM「流石にこのペースでグラスランナー出してたら都市部に定住するグラスランナーの1割は登場しちゃうよ」


さて、この売人。シナリオには種族が人間であると明記してあるのですがGMはグラスランナー頭のPLたちとの会話に振り回されて見落としてしまいます。


GM「あれ? 書いてないな。えーっと闇市にいそうで自分は薬中毒にならなそうな種族……。シャドウ族と思しき褐色の肌をした男だよ」


プレイヤー「えっ!? シャドウいるの!?」


【シャドウ】

ソードワールドワールド2.5の舞台となるラクシア世界に存在する種族。

一般的なファンタジーのイメージでいう「ダークエルフ」っぽい感じの暗い褐色肌をした人型種族なのですが…


GM「あれ? シャドウだと問題ある? …あるな。」


実はシャドウ族は住んでいる大陸が異なるため、今回の冒険の舞台となるグランゼール王国には住んでいません。

というより…


プレイヤー「ルールブックのどこにもそんな種族はいないよ」


そう。

シャドウはソードワールドが2.5に版上げされる前、ソードワールド2.0時代のルールブックに登場する種族。今回のシナリオに登場するのは不自然です。


テンパったGMが口にした言い訳は…


GM「海で日焼けした肌の浅黒いエルフです。」


ゾーラ「肌の浅黒いエルフやな」


ニーナ「確かに肌の浅黒いエルフでしかない」


ラル「日焼けしたエルフ」


ミエン「海エルフだ」


彼は日焼けした海エルフです。

いいね?


さて、プレイヤーたちが普通に【ナイトアイ】を買うか、売人と交渉するか、問答無用で捕縛するかを相談し始めます。

うーん。でも暗視のない斥候っぽいやつらが連れだっているんでしょ?


これ、もしかして売人の方からしたら自分から声をかけて商売を持ちかける相手なんじゃないの?


GM「そうこうしていると向こうから君たちに声をかけてくるよ」


海エルフ「やあ、暗視のない哀れな子供たち」


ゾーラ「魔法を弾けない種族が何か言うてはるわ」


ニーナ「これ、ブちぎれていい?って思ったけどゾーラが完璧な返しをしてくれたじゃん」


ラル「完璧すぎると言っていいだろう」


海エルフ「シャドウは抵抗力高いから魔法を弾けるんだが? あっ、いや、私はエルフですが」


ミエン「種族についての罵り合いはやめよう」


ニーナ(切れそうになったけど完璧な返しですっきりした顔)


海エルフ「怒らせたなら悪かったよ。なあ、巷で噂の【ナイトアイ】ほしくはないかい?」


ミエン 「ああ、一度試してみたいと思っていたのさ」


海エルフ「今ならなんと1本たったの200G!」


ラル 「…………」←所持金60G


ゾーラ「残念やねぇ、手持ちがあらへんわ」


ミエン 「ふむ? 聞いていた額より高いようだが」


海エルフ「最近どうにも売れ行きが良くて不足しがちでねえ。品薄ゆえに仕方ないんだ」


ミエン 「まあそれくらいなら出せるけれどね」600ガメル程持ってる


ゾーラ「600ガメルじゃ一人ぶん足らへんやないの。150ガメルにならへん?」


ミエン「どうだろう? 一曲弾いて聞かせるから少しまからないだろうか?」


プレイヤーたちが値下げ交渉を始めようとしますが、ここでラルが重要なことに気づきます。


ラル「ふぅむ……しかし君、私達は別に『目はあるか?』とは聞いてなかったんだが、いいのかな?」


GM痛恨のミス。

合言葉の件、すっかり忘れてました。


プレイヤー「 まぁ最近売人になったばかりの下っ端……なんならテンバイヤーとかなんでしょ」


海エルフ「言った、今あなたは合言葉を言った! 私はその前には持ち掛けなかった。いいね?」


ミエン「ああ。先程のやりとりはすっかり忘れてしまったよ」


ニーナ「実はそれ転売とかしてらっしゃ…」


海エルフ「ギクゥ」


別にシナリオではこの人物は転売屋とかではないのですが、GMは自身のミスを誤魔化すために、この海エルフを転売屋だということにしてしまいます。

アドリブだよ、アドリブ。


ミエン 「ああ、その値段。転売だから…」


ニーナ 「だから高いのか~~」


転売エルフ「もういじめるのやめてくださいよ。グラスランナーの旦那方ぁ! 薬はあります。俺はちょっとだけ上乗せして売ります。あんたらは買います。それでいいでしょう?」


ミエン 「ま、薬が貰えるなら文句は無いよ。とりあえず1つ貰おうか」


転売エルフ 「へへっ、旦那は話が分かる…」


ラル 「ふむ……一緒に麺類を食べに行くのも悪くなさそうだけどね」


ラルが転売エルフを盗賊…もとい遺跡ギルドへ突き出すことを視野に入れたプランを提案します。


転売エルフ 「(…麺?)170Gに負けときますぜ~」


ゾーラ「もう20ガメルか98ガメルほどまけてくれへん?」


ニーナ「値崩れした」


転売エルフ「さすがにそれじゃあ商売あがったりですよ~」


ニーナ 「そうだね~」(冒険者セットからロープを取り出す)


転売エルフ 「やる気か?」


プレイヤー「おっと、戦闘に入るのかな?」


転売エルフ 「うおおおおお!」(逃亡)


4人に勝てるわけないだろ!


ニーナ「追いかけよう」


ラル「敏捷での判定対決になるのかな?」


ゾーラ「逃がさへんよ?」にっこり


プレイヤー「うわ、ゾーラの敏捷ボーナス+5もある。」「こわっ」「絶対逃げられない」


転売エルフはあっけなく捕まりました。


プレイヤーたち「囲んで叩くか」「タマ蹴ろうぜ、タマ」


会話が物騒すぎる。


転売エルフ「なんでも話しますからおかみにだけは突き出さないでください」


ニーナ「大丈夫。お上じゃないところに行く」


転売エルフ「こ、こちら残りの【ナイトアイ】ですぅ~差し上げますから。どうか、どうか!」


ニーナ「稼いだお金もついでに出して♡」


ミエン 「こんな仕事をしてること、妻子には見せられないな」


ニーナ 「泣かないで、てんばいやーちゃん。これからもっときれいなお商売しよ?」


転売エルフ「やっぱり裏の世界で稼ぐなんて俺には無理だったんだ~」


さて、シナリオ上は売人に当たる人物を捕まえたグラランず。

とはいえ、その場のプレイヤーのノリとGMのアドリブで売人本人ではなく転売ヤーを捕まえたことになってしまい、シナリオの本筋から再び脱線し始めます。

果たして、黒幕にはいつになったら辿り着けるのか。


次回、転売ヤーの尋問と【ナイトアイ】そのものの調査に続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る