第15話 魔導書の使い方
魔法のことを教えて貰って一週間が経った。
僕は朝にレイさんと素振りするようになり、色々教えて貰っている。
剣にしっかり力が伝わる振り方、姿勢、身体の動かし方を教えてくれた。
「エド君、これからは素振りはゆっくり振り下ろそうか。私が教えたこと意識しながらゆっくりやってごらん。どう?ゆっくり振り下ろすのも案外キツいでしょ。じゃーあと、100回素振りしたら今日はおしまいにしようか。」
レイさんは爽やかスマイルで僕に告げた。
僕の内心は『え!?あと100回!?』と焦った。
レイさんは優しそうに見えて、指導はとても厳しい。
最近、筋肉痛が酷い。全身がギシギシいっている。
だけど、レイさんは笑顔で「まだやれるよ」と追い込んでくる。
素振りが終わりクタクタになりながら家に帰ってきた。
家に帰ると、父がニヤニヤした顔で僕に話しかけてくる。
「レイの指導は厳しいだろ?昔からあいつは真面目だから中々妥協をしてくれないんだ。俺も何度も酷い目にあった。」
父は少し遠い目をしていた。
今日もいつもと同じ時間に先生の住んでいる家に向かった。
家に着くと、先生は外で僕を待っていた。
「おはよう~エド君。今日は天気もいいから外で勉強しよっか。今から村の外の開けた場所まで行きましょう。」
先生と手を繋ぎながら村の外へと向かう。
手を繋いでるのは、魔力の循環の練習をしているためで、決してやましい気持ちはない。村の人が見てるのに手を繋いで歩いているため、顔を赤くさせ村の外へと急いだ。
村の外に着くと、僕は先生と向かい合う。
今日、先生は魔導書を持ち歩いていない。村の外に行く途中に気になって聞いてみたが、村の外に着いてからのお楽しみと笑顔ではぐらかされた。
「エド君は魔導書を手で持ち歩いてるよね?今日は魔導書の使い方をを教えるわ。
エド君は魔導書と何か繋がってる感覚はある?
魔導書に血を垂らすと、魔導書とパスが繋がるわ。解りやすくいうと、魔導書に血を垂らすことでエド君の血を媒介にして魔導書とエド君に魔力の道が出来たの。魔導書に血を垂らしたら魔導書が軽くなったのはわかっているとは思うけど、あとは実際に見せた方が早いわね。エド君、見ててね。」
何もないところからいきなり魔導書をだした。
村の外に来るときは手ぶらだったので僕は驚いた。
「ふふっ、エド君驚いたでしょ。あとこんなことも出来るんだよ。」
先生が魔導書から手を離すと、魔導書はプカプカと浮いていた。
先生が歩き始めると、魔導書は先生の後ろについていった。先生が僕に振り向くと魔導書を消して僕に近づいてきた。
「魔導書とのパスがしっかり認識できるようになったら、私が今したようなことが出来るようになるわ。エド君は自分の体内の魔力も解るようになってきたから、今日は魔導書と自分のパスを感じ取る練習をしましょう。エド君のもっている共感覚も鍛えれるから頑張ろうね。」
魔導書に血を垂らした時のことを思い浮べる。
魔導書と自分が何かに繋がった感覚を思い出す。うっすらと自分と魔導書が繋がる糸のようなものが見えてきた。
僕は『魔導書よ 浮け』と、魔導書に思いを伝わらせる。
僕はゆっくり魔導書から手を離すと、魔導書はプカプカと浮いていた。
「え、もう出来たの!?感性が鋭いのかしら?
本来なら一週間ほどかかってようやく感覚がつかめるくらいなのに……」
先生は驚いたあとに、何かを考え始めた。
「じゃー今から魔導書の事を教えてあげる。エド君は魔導書の文字は読めたりする?」
「少しだけしか読めませんでした。」
「魔導書は人が作っているわけじゃないの。昔からダンジョンや魔溜まりが強い場所で発見されるの。魔導書は契約者の器が大きくなることで文字が読めるようになると言われているわ。器を大きくするには、知識を学んだり,レベルアップや壁を乗り越え成長したときに器が大きくなりやすいわ。
成長したときに、魔導書の力をより引き出せるようになると言った方がわかりやすいかしら。
魔導書が無くても魔法を使えるけど、魔導書があると魔力の制御がしやすかったり、威力にも差が出てくるわ。制御が出来てないと魔力が暴走して命の危険もあるの。だから魔導書で制御の練習する必要があるのよ。
①器が大きくなることで、魔導書の文字がよめるようになり、使える魔法が増える。
②魔導書で使える魔法の魔力制御を練習して、魔力を暴走させないようにする。
③魔導書なしで魔法を使えるようになる。
しばらくは、私といるとき以外で魔法の練習はさせません。
回復魔法も知識を学ばないと本当の力が発揮できないから、座学の時間もしっかりと話を聞いてね。」
先生の話を聞きながら、両親に攻撃魔法を使うなといわれた意味を理解した。
回復魔法は今まで手をかざし『良くなりますように』と祈ったら発動していたので、それが回復魔法だと勘違いしていた。
母に回復魔法について聞いたとき、手をかざし『良くなりますように』と祈ればいいと教わった。
母が僕に勘違いをさせたのは、僕が幼かったことや多少の効果しか出ないこと解っていたからだろう。
魔導書を媒介した方が制御や威力があるのは、魔導書で魔法を行使したときよりも無駄な魔力のロスがあるからだろうと解釈した。
魔導書と共感覚を強めたら、手元に魔導書がなくても制御や威力が落ちないのではと考えながら先生の話を聞いていた。
僕は魔導書を浮かしたり、消したりして身体の一部のように扱えるように練習していると、先生は不思議そうに僕を見てくる。
「さっきから魔導書を浮かしたり、消したりずっとしてるけど何をしているの?」
「魔導書を身体の一部みたいに扱えるように練習してました。」
「エド君は真面目ね。しっかり学ぼうとしてるのが伝わってくるから、私もエド君に教えるのが楽しいもの。」
先生の笑顔を見ると、ドキドキした。
僕は頭の煩悩を振り払って練習を再開した。
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