第14話 属性魔法と2極属性
翌朝目が覚めると、隣で妹が僕にしがみついている。
妹の頭を優しく撫でてから、僕は起こさないようにゆっくり布団から出る。
部屋を出ると、母と父がお酒を飲み過ぎてか部屋に戻らず、居間で寝ていた。
薄生地の布を2人に羽織らせた。
村を走っていると、レイさんが素振りをしていた。
「レイさん、おはようございます。朝早いんですね。」
「エド君、おはよう。昨日のお酒を抜くために汗を流したくてね。エド君も朝はいつも走っているのかい?」
「はい、五歳の時から走れるときは走るようにしています。」
レイさんは背が185センチ位と高く、体格は締まってスリムに見える。
笑うと男の僕でもドキッとするような爽やかイケメンで、ブロンドの髪を掻きあげて僕に話しかけてきた。
「まだ小さいのにしっかりしてるね。性格はオズよりアイリに似たみたいだね。エド君が良ければ、私が村にいる間、朝の時間に剣の素振りを一緒にやるかい?」
「はい!お願いしたいです。剣術も弓術も上達しなくて悩んでました。」
「明日から一緒にやろうか。」
爽やかスマイルのレイさんと素振りの約束をして僕は家に戻った。
家に帰ると両親達が起き始めた。
2人とも二日酔いらしく、うなだれていた。
水を持ってきてあげると、2人は水を一気に飲み干した。
少し落ち着いたみたいでようやく動き始める。母は台所でスープを温め、僕に出してくれた。
父が部屋から分厚い本を持ってくる。
「この魔導書にエドの血を一滴垂らすんだ。そうすればこの本はエドだけの魔導書になる。」
ナイフを少し指に刺し、魔導書に血を一滴垂らすと、魔導書が一瞬淡く光った。
僕と魔導書がなにか繋がったような感覚がした。
「あとはティナから色々教えてもらえ。あいつはああ見えて腕の良い魔導士だ。下手に俺が教えるよりあいつから教わった方がいいだろう。」
さっきは重かった魔導書が軽くなっていた。
どうやら先ほど血を垂らした事で、魔導書が自分の一部となったらしく、重さを感じなくなったそうだ。
ぼくは魔導書を持って、2人が住んでいる家へと向かった。
家の扉を叩き、挨拶をすると先生が顔を出した。
僕の両親と違い、二日酔いはしてないみたいでキリッとしていた。
「おはよう~エド君。今日からビシバシ教えていくから覚悟してね。」
「先生、おはようございます。頑張りますので、お願いします。」
先生は僕を部屋に迎え入れ、嬉しそうに挨拶してくれた。
「じゃーまずは基本となることから教えていこうかな。最初は座学の時間が長いけど基本となる部分を疎かにすると、後から苦労するのはエド君だからしっかり聞いていてね。」
先生は僕を椅子に座らせると、魔導書とは違う分厚い本開いて僕に説明を始める。
「まず、魔法には色々種類があるんだけど、5大元素といわれている、『火』『風』『土』『雷』『水』とそれらに属しない『無』、2極属性といわれている『聖光』『呪闇』から基本は成り立っているわ。5大元素は
『火』は『風』に強く『水』に弱い
『風』は『土』に強く『火』に弱い
『土』は『雷』に強く『風』に弱い
『雷』は『水』に強く『土』に弱い
『水』は『火』に強く『雷』に弱い
それらに属しない『無』は基本的には、弱点はないけど強みもない。
2極属性は
『聖光』『呪闇』はお互いに強くもあり、弱くもあるわ。
ここまでが基本的となる魔法の話になるわ。
次に複合魔法といわれている2つ以上の属性魔法を組み合わせた魔法があるわ。
今はまだエド君には難しいから、そのときがきたらまた教えるわね。
次に回復魔法と言われる魔法があるんだけど、実はそれぞれの属性ごとに回復魔法があるの。
一般的に『聖光』『水』がより回復が高いといわれているわ。
『土』の回復魔法は人より植物等の回復が高いし、まだまだ解明されて無い部分が多いわ。
一端ここまでにして休憩しましょうか。」
僕は初めて聞く内容に頭がいっぱいいっぱいになったところで、休憩を挟んでもらえた。
ティナ先生は僕が思っている以上にしっかりしている人で、丁寧に教えてくれた。
一息ついてから、先生は僕に質問してきた。
「エド君は、魔力を自分の体内で感じ取る事が出来る?」
「今までは何となく回復魔法を使ってきただけなのでよく解りません。」
「魔獣の胸には魔石があるのは知っている?それに似ていて、人間には魔力器官とよばれるモノが胸辺りにあるわ。そこで生成された魔力を人は使い、魔法を行使するの。外気にも魔力はあるけど、体内の魔力と性質が異なるから、外気から体内に魔力を取り込む事は容易ではないわ。
じゃ~今から私の体内の魔力をエド君に流すから、感じ取ってみてね。」
先生は僕の両手を握り、目を閉じた。
年上の綺麗な女性から手を握られたのでドキッとした。
先生は真面目にやってくれているので、僕は頭を切り替え集中する。
すると、先生の手から温かいような熱いようなナニカが流れ込んできたのが解った。
それが次第に体中を巡り、全身が熱く燃えるように感じた。
先生は息を吐き、ゆっくりと手を離す。
「どうかな?なにか変化あったのわかったかな?」
「はい。体中が熱いです。これが魔力なんですね。」
「うん。人それぞれ魔力の性質が違うから、私の流した魔力は感じ取りやすいと思うの。私は火の属性が得意だから熱く感じているんだろうね。次は自分の魔力を感じとれるように、胸にある魔力器官を意識してみよう。」
僕は胸にあるという魔力器官を意識し、血が全身を巡るように魔力も全身を巡るように意識する。
少しずつだが、胸からチクチク痛むような、少し痺れるよな感覚をしたナニカが全身をゆっくり巡った。
「先生、ナニカが全身巡るのを感じ取れました。」
「え!?もう自分の魔力がわかったの?私の手を握ってエド君の魔力を流してみてくれる?」
僕は先生の手を握り、先ほど先生がしてくれたように、僕の身体を巡るナニカを先生に流すように意識する。
「本当にもう自分の魔力を感じ取れるようになってるみたいね。」
先生は驚いた顔で僕を見ている。
僕は今まで感じ取ったことの無い感覚に集中していたせいか、少し身体が重く感じた。
先生は疲れた顔の僕を見て、昨日のような笑顔で僕を見返してくる。
「どう?初めての魔力操作は疲れたでしょ?けど、初日で魔力操作出来ると思ってなかったわ。魔力操作が出来るまで一週間はかかると思ってたんだからね。明日からも毎日私と魔力を流す練習をしてゆきましょう。」
先生は機嫌がいいのか僕にベタベタ触ってくる。
前世の記憶があるためか、嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちが入り乱れたような気持ちに陥る。
「先生、恥ずかしいので離れてください。」
断腸の思いで僕は先生に言った。
「もぅ~エド君照れちゃって、可愛いんだから。」
それでも中々離してくれないので、レイさんが帰ってくるまで僕はからかわれていた。
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