第13話 魔導書と先生

街から村に戻ってきて、三ヶ月ほど経った。

狩りから家に戻り、母が出迎えてくれる。


「おかえりなさい。オズ、手紙が届いているわよ。」


父は手紙を受け取り、読み始める。

すると、少し驚いた顔になり母に告げる。


「明日、街に向かう。また留守の間たのむ。エド、明日からしばらく狩りは休みだ。家族をたのんだぞ。街に行ったら、エドに剣を買ってくる。木刀にも振り回されなくなってきたから、今度から真剣を使わせようと思う。」


父はそれを言うと部屋に戻り、街に行く準備を始めた。

僕は腰の木刀を見る。おまえとはあと少しかと思いながら木刀を摩った。


父はいつもより早く寝に入った。

僕は明日から何をやろうか考えながらその夜を過ごした。

朝起きると、父はもう家から街に向かった後だった。

今日は母の畑仕事を手伝うことにした。


午後から、久々にルナちゃんと遊ぼうと思い、ルナちゃんの家へ向かった。

向かう途中に、村長の息子で僕と同じ年のバズーと会ったので、みんなで一緒に遊ぶことにした。


ルナちゃんの家に行くと、ルナちゃんは僕の妹と仲良く話をしていた。


「今日からしばらく狩りが出来ないから、みんなで遊ばない?」


「はい!遊びます。エリーともその話をしてたんです。」


「兄様、今日は珍しくバズーさんもいるんですね。」


「ルナちゃんの家に向かう途中に会って、誘ったんだ。」


「エドが狩りに行くようになってから遊ぶことも減ったから、久々に今日はみんなで遊ぼうぜ。」


みんなと遊ぶのは久々だ。最近は狩りや畑仕事、おばちゃん達の集会に行ってばかりで同年代の子とは遊んでいなかった。

バズーはルナちゃんと顔を赤くさせながら、楽しそうに話をしていた。

僕がバズーをイジると、バズーの顔がさっきより赤くなりしどろもどろになった。


最初は鬼ごっこをしていたが、僕のレベルがみんなより高くなってるので、みんなから面白くないと文句を言われてしまい、かくれんぼすることになった。

久々にやってみると面白く、あっという間に夕方になった。


遅くなってきたのでみんなを送って、僕と妹は手を繋ぎながら家に帰った。

今日はゆっくり出来たので、明日は素振りや回復魔法の練習をしようと思いながら布団に潜った。


父が街に向かい10日過ぎた。

父が帰ってくるまであと数日かかるだろうと思っていたが、父が家に帰ってきた。

父の後ろには、父と同じくらいの年代の男女が2人いた。

母は後ろの2人を見ると驚き、女性に駆け寄り抱きついた。


「ティナ久しぶりね。会いたかったわ。レイも元気そうね。」


「私もアイリに会いたかったわ。忙しくて会いに来れなくてごめんね。」


「2人とも久々の再会に水を差すようで悪いけど、子供達が困っているよ。」


母は女性と名残惜しそうに離れ、僕たちに照れた顔をみせる。

その後、それぞれ自己紹介してくれた。

男性はレイ、女性はティナといい、昔から仲の良い両親の知り合いらしい。


「レイは剣と魔法が使える魔法剣士で、ティナは攻撃魔法に長けた魔導士だ。これからしばらくの間、2人にも俺と一緒にエドを指導してもらおうと思っている。魔導書も見つけたから、しばらくはティナから魔法について学べ。」


「父様、解りました。ティナ先生、これからよろしくお願いします。」


「オズに似ないで礼儀正しい子ね。じゃ~エド君、明日からお願いね。」


先生は可愛くウインクをしてきた。

ティナ先生はピンクの髪で、顔はかわいい系で背が150センチ位なのに母にも負けないくらい胸が大きい。

僕の背が140センチ位なので、どうしても目線が胸元に向いてしまう。

僕は顔を赤くして目線をそらした。


先生は獲物を見つけたと顔をニヤッとさせ、耳元で小さく何処をみてたのかな?と囁いてきた。

女性特有の甘い匂いと心を惑わすような甘い声に僕はドキッとし、父の元へ逃げた。


「ティナ、あんまりエドをいじめるな。明日から口を利いてもらえなくなってもしらないからな。」


「も~冗談だよ。エド君もごめんね。」


先生はテへっとした顔で僕に謝り、みんな笑っている。

僕は明日からこの人とやっていけるか不安になってきた。


2人はしばらくしたら、父と一緒に家を出て行った。

村には宿屋がなく、近くの空き家をしばらく使うため、父と一緒に村長の家に挨拶に行った。


父達が帰ってくる間に母はみんなのご飯の準備を始めた。

久々の再会で機嫌が良く、いつもより楽しそうにしている。

僕と妹も2人の歓迎をするために母と一緒に手伝った。

父達が帰ってきて、みんなでご飯を食べる。


父と母は同性同士で楽しく盛り上がって、僕たちはそれを楽しそうに見ていた。

妹が眠そうにしていたので、今日は僕の部屋で2人で寝ることにした。

妹と布団に潜るとすぐに寝息が聞こえてくる。


僕は明日からのことに思いを巡らせた。徐々に意識が遠のき、部屋からは2人の寝息が聞こえてきた。






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