第12話 レベルアップ

家に帰ると、母が心配そうにしていた。

僕はしばらく父と狩りに行こうと思ったので畑の仕事をしばらく休んで良いか母に尋ねる。


「子供はそんなこと心配しなくていいの。エドがやりたいことしなさい。

だけど、無茶だけはしないでね。」


母は優しく僕の頭を撫でてくれた。

僕は疲れたのもあって、部屋に戻るとご飯も食べずに寝てしまった。

翌朝、いつも通りに走ったあと、父と狩りに向かうため準備をする。

僕たちは母と妹に気をつけてと送り出され、森へと向かった。


今日もゴブリンを狩るために森の中へと足を進める。

昨日より気持ちが落ち着いている。

しばらく歩くと、父は足を止める。二匹のゴブリンを発見したらしい。

木に隠れて待っていると、少ししたらゴブリン達が姿を見せた。


ゴブリン達は周りも警戒せず騒ぎながら歩いている。

父と目配せし合い、僕たちはゴブリンが前を通り過ぎた後、背後から襲いかかる。

父は一撃でゴブリンを屠り、僕は木刀で頭を何度か殴りようやくゴブリンを倒した。


父はゴブリンの胸にナイフを突き刺し、胸を開くと小さな石みたいなモノを取り出す。不思議そうに見ていたら父は教えてくれた。


「これは魔石だ。魔獣の胸には大きさや色は違うが必ず胸に魔石ある。魔石は色々と使うことが出来るが、何に使えるか教えるのはまた今度だ。俺と同じようにエドもやってみろ。」


父からナイフを借り、同じように胸から魔石を取り出す。

気持ち悪くなったが、父にそのうち慣れると言われた。

取り出した魔石は、薄い紫色で小石程度の大きさだ。それを父に渡し、腰につけている麻の袋にしまう。


ゴブリンを燃やし、土に埋めた。倒した魔獣をそのままにしておくと、アンデットになる恐れがあるため、基本は燃やして骨を土に埋めるらしい。


僕たちは森の中腹にある川辺まで進んだ。

道中にゴブリンを2体、ウサギを一匹狩った。


今日は昨日より身体が動きやすかった気がした。

少し気になり、ステータスを見てみた。



エドワード 10歳(46歳) 男 Lv2 (1UP)


体力:18 (3UP)

魔力:35 (3UP)

筋力:17 (4UP)

敏捷:20 (4UP)

知力:30 (2UP)

器用さ:24 (3UP)


スキル

アイギスの盾 Lv1

回復魔法(聖)Lv2

雷魔法    Lv1


剣術 Lv1

盾術 Lv1 

弓術 Lv1


称号

異世界転生者

アモルの加護

アモルの使徒


初めてのレベルアップに僕は少し興奮した。

身体が動きやすく感じたのは、レベルアップによる各パラメータの上昇によるものだった。

父は僕の様子をニヤニヤしながら


「なにか良いことでもあったのか?顔がニヤけてるぞ。」


「父様もいつも顔がニヤけています。」


「おいおい、酷い事いうなよ。俺はいつも凜々しい顔をしている。」


「冗談は顔だけにしてください。」


最近は少しずつだが、こうやって父と冗談を言い合えるようになってきていた。

父はそれが嬉しく、僕をよくからかってくるようになった。

僕もそれが嬉しいので、父をイジるようにしている。


「初めてレベルアップして、少し興奮してしまいました。」


「それは良かったな。今日はもう少しだけ魔獣を狩って家に帰るか。アイリにお願いして今日は少しご飯を豪勢にしてもらおう。魔獣を狩るついでに、キノコと山菜も探そうか。」


僕も美味しいご飯を食べられるのは嬉しいので賛成した。

帰り道、ホロホロ鳴くホロ鳥を二匹狩り、キノコと山菜を沢山採って帰った。


家の前に着き、ふと疑問に思ったことを尋ねた。


「今日はいっぱい狩りをして、キノコと山菜も沢山採りました。なのに、父様の腰につけている麻の袋が全然膨らんでないのは何故なんですか?」


「これはマジックアイテムで、マジックポーチというんだ。そこそこ物が入るから昔から重宝してる。」


狩りをするのにいつも身軽だったのはそういうことかと納得した。

家に入ると、妹は駆け寄ってきて僕に抱きつき、母はそんな光景をみながらゆっくり近づいてきた。


「兄様、お帰りなさい。お怪我はありませんか!?。」


「はは、ただいまエリー。怪我してないから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。母様、ただいま戻りました。」


「エド、おかえりなさい。オズも今日もお疲れ様。」


「エリーが俺の心配をしてくれない、、」


父は妹が心配してくれないのを悲しんでいた。

僕は父が信頼されてるから、妹はそれを言わないだけだと思った。

レベルアップしたことを母に伝えると、母は今日のご飯を豪勢にしてくれると言ってくれた。

父はマジックポーチから、ウサギやホロ鳥、キノコと山菜を出して母に渡した。

母が今日は鍋にしましょうと言ったので、妹と二人で喜んだ。


夕ご飯は、家族と鍋を囲みながら今日の出来事を話し、みんなと話が盛り上がった。

今日は妹が母の畑の仕事を手伝ってくれたみたいで、母は嬉しそうに話してくれた。


夜、布団に潜りステータスをもう一度確認して、僕はニヤニヤする。

自分の成長が目に見えて解るのは、嬉しい。

明日からも頑張ろうと思いながら、僕は意識を薄れさせてゆく。


少しずつ、愛子の事を忘れていっているのにも、気付かないままに……












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る