第8話 二度目の邂逅
僕の10歳の誕生日を迎え、今日は家族4人でソドムの街へと向かう。
この世界では、5歳、10歳、15歳を迎えると教会に赴き、神からその子の器に合った固有スキルを貰う慣わしがある。
「もう10歳になったな。5年前に教会に行ったきりエドを街に連れて行ってないからな。家族4人で街に行くのは初めてになるか。」
街に向かってる道中、父はまるで子供みたいに浮かれている。
最近、家族との距離が縮まってから父は僕に構いたくて仕方ないらしい。
「ふふっ、オズとエドのどっちが子供か解らないわね。」
母は楽しそうに僕たちを見ている。
母の膝の上には夢の世界に旅立ちそうな妹のエリスがいる。
今日は野宿をするので、それぞれ仕事を割り振って野営の準備を始める。
母が簡単な軽食を作り、僕と父はテントを設置する。
妹は熟睡中である。
薄暗くなってきた頃、僕たちは家族でたき火を囲い、ご飯を食べている。
黒パンに、野菜とくず肉が入ったスープを食べる。
普段、食卓で食べるご飯だが、外で食べると美味しく感じる。
父が食器等を洗いに近くの川辺に向かった。
もう少ししたら寝なきゃと考えていたら、母が話しかけてきた。
「エド、今日は楽しかったわね。オズも子供みたいにはしゃいでたし。
ママも久々に息抜き出来たかも。あんなに小さかったエドもこんなに大きくなって、時間が経つのは早いわ。エリスも来年で五歳になるし。本当に私たちの元に産まれてきてくれてありがとう。」
母は優しい笑みを浮かべ、僕に語った。
僕は嬉しく、なぜか目がぼやけてきたので、真上を向いて夜空を眺めた。
数多の星が煌めく夜空を眺めながら、小さな声で僕は『ありがとう。』と言った。
何事も無く、ソドムの街に着いた。
ソドムの街は5年前と何も代わり映えしないが、村とは違い活気に溢れている。
多くの声が飛び交い、僕は久々の空気にキョロキョロしてしまう。
妹に至っては、初めての街に胸を躍らせ、甘い匂いが漂う屋台に両親を引っ張って上目遣いで両親に強請る。
僕は苦笑いをしながら、3人のやりとりを眺めてた。
5年前に泊まった宿に行き、今度は4名で予約を取る。
今回はゆっくり街を見物したため、日も暮れたため、翌日に教会に行くこととなった。
部屋に入ると、妹は遊び疲れたのかすぐに眠りに入った。
両親はそんな妹を優しく抱きしめ、ベットにあずけた。
明日は、2回目のスキルと授かる日だ。
5年前、アモル様と契約してから僕の出来ることを毎日行ってきたつもりだ。
ただ、5年前とは違い僕は愛子だけの幸せを願っているわけではない。
僕の両隣にいる両親と、ベットで気持ちよさげに眠る妹も、僕には無くてはならないものになった。
あの頃はただ漠是としていた気持ちも、少しずつ方向が見えてきた。
こっちの幼馴染みのルナちゃんも大事だし、もちろん『色褪せてきた』が愛子の事は大切だと思っている。
そんなことを考えてると、徐々にまぶたが重くなってきた、、、
翌朝、青空が広がり気持ちよく朝を迎えることが出来た。
宿で朝食を食べ、僕たちは教会へ向かった。
教会に着き、手続きをして祭壇まで案内してもらった。
5年前の司祭様と違う人だった。
僕は司祭様のいわれるとおりに祭壇で足をつき、5年前と同じように祈った。
目をゆっくり開くと、5年前に見た綺麗な人が優しく微笑みながら僕を歓迎してくれる
「エド、お待ちしていました。」
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