歪んだ愛情4
「ここが彼女の職場のあるビルか。」
ビルは高層ビルで、彼女の職場がどこなのかは分からなかった。
「このビルに入居できる会社で勤めているんだから、彼女はそれなりのエリートなんだろうなぁ。」
俺は再び、アプリを起動すると彼女はまだビルの中にいるようだった。そこで俺はビルの中にあるカフェに入り、彼女が出て来るのを待つことにした。
1時間くらいが経過した頃、彼女が同僚の男性と一緒に現れた。俺は彼女の写真を何枚か撮影し、事務所に戻った。
「おかえりなさい。」
「ただいま。」
「ターゲットどんな感じの人でしたか?」
ヒカルは知りたい欲求が抑えられないっという好奇心を丸出しで俺に近寄ってきた。
「結構、綺麗な女の子だったよ。それに職場も大手だと思うなぁ。」
俺は先ほど撮影したターゲットの写真を見せた。
「本当だ。田村さんなんかじゃ絶対に付き合えそうにないくらい美人じゃないですか。田村さん、この女性のことを知ってどうするんですかね?」
「さぁな。これは俺の勘だが、プライベートを知りたいってことは、知ったネタを使って脅して付き合うとかストーカーするとか、何にせよ、綺麗なことをしたいって感じではないだろうな。そもそも、24時間の行動を知りたいなんて普通の人間は依頼してこないからな。」
「じゃあ、社長はこんな美人が心に一生の傷が残るかもしれない事態が起こることを予期しながらも、その手伝いをするってことですか?」
「まぁ、仕事だからな。俺にとって大事なのは美人の子の一生ではなく、金を払ってくれる依頼人である田村さんの方だからな。」
「金の亡者ですね、社長。前から思ってましたが、社長も相当狂ってますよね。」
「うるせーな。ヒカルだって、結局俺の仕事を手伝ってんだから、共犯みたいなもんだぞ。綺麗事を並べながら共犯しているヒカルの方が狂っていると思うけどね、俺は。」
「私は社長に恩返しが出来れば満足だから良いんです。」
「恩返しされるようなこと、俺はしてないけどね。」
「まぁまぁ。でも、田村さん本当に彼女のことを知ってどうするんだろう。変なことにならなきゃ良いけど。」
「未来のことを考えても仕方ない。とりあえず、さっきの写真、データ送るからプリントアウトしておいてくれ。」
「分かりました。」
ヒカルを仕事に戻した後、俺はとある事務所へと電話を掛けた。
人の恨みは金になる 乃木希生 @munetsu
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