歪んだ愛情3

翌朝、俺は昨日乗った電車の始点から電車に乗り込み、ターゲットとなる女性が乗って来るのを待っていた。数駅を経過した時、例の女性が電車に乗ってきた。


『毎朝、同じ時間の電車に乗って来るなんて凄いな。』

俺は感心しながら、満員時にその女性の近くにスムーズに移動できるようにするため、場所を移動した。


彼女は昨日も今日も同じ少し大きめのバッグを持っていた。

『仕事は営業なのかな?』

彼女の服装や持ち物からどんな仕事をしているのかを予想するという、電車が混み始めるまでの時間の暇つぶしを始めた。彼女が乗ってきてから数駅を通過しているうちに電車が混み始めてきたので、俺は彼女の斜め後ろに立ち、更に混むのを待った。


昨日、田村さんと待ち合わせた駅に着くと、混雑はピーク状態となり、電車内がすし詰め状態となった。電車の揺れに合わせるように乗客も前後左右へと振られ、周囲の人間たちとの押し競饅頭おしくらまんじゅうが始まった。


俺は、電車の揺れに合わせるようにターゲット女性に近づくと、スマホを一台彼女のカバンの中に気づかれないよう忍ばせると、俺はもう一台のスマホをポケットから取り出し、位置共有アプリを立ち上げ、さきほど忍ばせたスマホの位置がしっかりと映し出されていることを確認した後、俺は電車を降りた。


俺が電車を降りてから数駅後、彼女も電車を降りたのだろう。スマホの移動スピードが緩やかになり、駅から数分の場所で動きを止めた。


『彼女の勤務地はこのビルか。』

俺は通勤ラッシュが終わるまで先ほど降りた駅のホームのベンチで何十本もの電車を見送った。

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