歪んだ愛情1
「探偵って人探しやターゲットとなる人の行動確認とか得意ですよね?」
「えぇまぁ、普通の人に比べたら得意だと思いますが。」
「じゃあ、今から言う人の1ヶ月間の行動を全て私に写真や動画付きで報告して欲しいんですが。」
「ターゲットとなる人の名前や勤め先など分かってたりしますか?」
「いえ、全く何も分かりません。唯一、分かることがあるとすれば、毎朝、俺と同じ電車に乗っているということだけです。」
「なるほど。ちなみに、顔が分かるものとかありますか?」
「いえ、持っていません。」
「なるほど、ほぼというか全く手がかりが無い状態ということですね。」
「そうなります。お願いできますか?」
「多少、お金が掛かってしまいますが。」
「いくらくらいになりますか?」
「そうですね。まずターゲットの確認に関する調査費用が150万円。1ヶ月間の行動の全てを報告となりますと、それに対する事前準備も含めて200万円。合計で350万円になります。」
「350万円?本当に?」
「本当です。嘘は言わない主義なので。その代わり、ご依頼いただいた際には、そのターゲットの24時間1ヶ月の本当に全ての行動を漏らすことなくお伝えすると約束します。」
「分割とかって可能ですか?」
「前金として、150万円の調査費用だけいただければ、残りの200万円は本案件が全て完了した後でのお支払いでも大丈夫です。」
「150万円か。」
「カードローンなどを上手く使えば、150万円くらいならすぐに用意できると思いますよ。」
「分かりました。150万円をまずはお支払いします。」
「ありがとうございます。では、こちらの口座までお振込よろしくお願いいたしますね。」
「分かりました。」
依頼人は席を立ち、軽く一礼すると事務所を出て行った。
「また、今回の依頼理由は聞かないんですね。」
秘書のヒカルがお茶を片付けながら話しかけてきた。
「あぁ、どうせ聞いたところで醜い憎しみや嫉妬、ねじ曲がった愛情とかだから。聞いてもどうせ理解できないよ。」
社長はそう言うと自席に戻り、ネットサーフィンをやり始めた。
3日後、依頼人から150万円が振り込まれた。
「社長、入金確認できました。」
「よし、やりますか。」
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