略奪愛9

すでにベロベロに酔っている松村さんを優しく介抱するフリをしながら、アカリちゃんはさり気なく腰に手を回し、松村さんの手は自分の胸元に当たるか当たらないかといった場所に置きながら、3次会へと消えていった。


その後、3次会でどういった話がされたかはアカリちゃんと松村さんのみしか分からないが、しっかりと二人は3次会を終えた後、タクシーに乗りそのままホテルへと消えていった。


翌朝、アカリちゃんから俺へ二人が裸でベッドに横になっている写真と一緒にメッセージが送られて来た。メッセージには、『色々と証拠を押さえました。』と添えられていた。



その日、陶芸教室に松村夫妻の姿は無かった。俺たちは、陶芸教室終わりの写真と二人を心配するメッセージを共有ラインへ送った。


その写真には、旦那が誰と朝まで一緒にいたのか分かるように、ヒカルは着替えをさせ、アカリちゃんは昨日と同じ服のままで写るように仕込んだ。


さらに、二日酔いで遅れてきたアカリちゃんと題して髪が少しボサボサの状態でホテルから急いで駆けつけた感じが伝わるような写真も駄目押しで送っておいた。



「あとは、太田さんから松村妻に連絡してもらって、今日のミッションは完了です。」

と言って俺は太田さんに松村妻へ連絡するように促した。連絡する内容は決まっている。


『昨日、アカリが帰ってこなかったんですが、松村は昨日帰ってきましたか?しかも、今日着ている服がどうやら昨日と同じ服で。本人に確認するのが一番早いんでしょうけど、聞くのが怖くて。』


メッセージを送ってすぐ、返信があった。

『旦那は帰ってきませんでした。どこにいたのか聞いても覚えてないの一点張りで。でも、太田さんの話と写真を見る限りでは、おそらくアカリさんと旦那は朝まで一緒にいたんでしょうね。』


俺は太田さんにとりあえず、4人で会う場をセッティングするように伝えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る