略奪愛8
松村妻を除いた5人での飲み会を始め、1次会が終わった所でヒカルにまた写真を撮らせて全員が入っているグループに写真を送らせた。
写真を送ってすぐに、松村妻からアカリちゃん宛に連絡が入った。
『今日はアカリちゃんも一緒なんですね。ヒカルさんがうちの旦那を誘惑しないように阻止してね。明日の陶芸教室で会えるの楽しみにしてる。』
「松村妻は相当、ヒカルを意識している様子だな。」
そのまま俺たちは2次会に向かった。
2次会では松村さんにだけお酒を飲ませ、俺たちは全員ノンアルコールにしてもらうように店員と話をつけていた。周囲が1次会と変わらずのハイペースで飲んでいること、明日も同じメンバーで会うことで警戒心が緩んだのか、松村さんは普段よりも多くのお酒を飲んでいた。
かなり松村さんが出来上がっていることを確認した俺たちは、ヒカルを松村さんと密着させ、依頼人の太田偽カップルと俺という構図で写真を撮り、今度は共通ラインに送るのではなく、あえてアカリちゃんのSNSだけに写真を掲載した。
すると、SNSにアップしてすぐに松村妻から皮肉を込めたであろうイイねがついた。
「よし、これでこの時間まで5人が一緒にいることも記憶に埋め込めたな。アカリちゃんの洋服もしっかりと印象に残っているかな。」
ここで俺はアカリちゃんに合図を出した。アカリちゃんは静かに頷くと、ヒカルが席を立った時を見計らって、松村さんの隣に位置取り、耳元で『トオル君のことで相談があるんですけど、このあと少しだけ時間ありませんか?』と囁いた。
しかし、松村さんは『奥さんが待っているから』と言って帰ろうとしたため、アカリちゃんは目に涙を溜めながら『どうしても二人きりで、トオル君のことを聞きたいんです。本当に少しの時間だけで良いので。終電までには絶対に帰るので。松村さんしか私には相談できる相手がいないんです。』と情に訴えかけた。
目の前で女性が泣いて頼ってきて、そのままにできる男性はいないと踏んでいたが、松村さんも俺の想定通り、アカリちゃんの悩みを聞くために二人だけで3次会に行くことになった。
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