略奪愛7
打ち合わせ通り、俺たちは隔週で陶芸教室に通い、時折飲み会や女子会などを通じて仲を深めていった。そして、予定通りにヒカルは松村妻からマークされてきたことをアカリちゃんを通じて確認することができた。
「ヒカル、よくやった。」
「ありがとうございます!」
「じゃあ、そろそろ次の段階だな。」
俺は、依頼人の太田さんとアカリちゃんに次の計画を送った。
それから俺たち男性陣は、定期的に飲み会は続けていたが、そこにヒカルを呼ぶようにした。そして、女性が入ることで毎回写真を撮るようになり、ヒカルはそれをあえて全体グループに流すようにした。
それにより、女子会には段々とヒカルは呼ばれなくなり、アカリちゃんと松村妻の二人だけで会い、お互いのパートナーがヒカルと怪しい関係になっているんじゃないかという悩み相談会へと変わっていった。
松村妻の不信感が徐々に高まって来た報告を受けた俺は、次の男性陣飲み会にヒカルとアカリちゃんの二人を部下の松村さんには内緒で招集して、飲み会は陶芸教室の前日に設定した。
「ヒカル、いよいよ明日仕掛けるぞ。」
「いやー、長かったですね。」
「まぁ、夫婦を離婚させて、さらに依頼人とくっ付けようとするには、それなりに時間が掛かるんだよ。」
「社長って、人間の感情に興味ないって言いつつも、凄い人間のことを知っていますよね。」
「そうか?別に心理学とか学んでる訳でもないし、単純に人間の欲望や嫉妬に対して直に刺激を与えてあげているだけだよ。」
「そのやり方がなかなか、普通では思いつかないですよ。」
「なんでもいいけど、とりあえず明日頼むぞ。変に同情なんてするなよ。」
「しませんよ。もう社長と何件、案件をこなしてると思ってるんですか?」
「こういった商売は、何件こなしていたって相手が毎回変わる以上、同情心が出てきてしまう可能性があるんだよ。だから、必ず自分で宣言させて、同情心を完全にゼロにさせる必要があるんだよ。」
「だから、社長は毎回、私に質問してくるわけですね。」
「まぁ、そういう訳だ。あと、万が一のために睡眠薬を用意しておいてくれ。」
「分かりました。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます