略奪愛2

200万円もの金額をたった3日で用意できるのだから、それなりの会社に勤めているのだろうと予想していたが、俺たちの予想をはるかに超えた大企業で働く会社員だった。会社名を言えば、そこら辺にいる女性陣だったら簡単に金と地位目当てで口説ける会社だ。


「なんで、こんな超大手で働いている人間が、あえて部下の奥さんなんて欲しがるんですかね?」


「だから、理由はどうだって良いって。そんなに気になるなら、自分の足で調査してこいよ。ヒカル、お前だって一応、探偵としての基礎は身についているんだから。」


「そこまでしてまでは知りたくないので良いです。」


俺たちはまず、ターゲットとなる部下の身辺調査から始めた。部下の男は社内でも優秀な男らしく、同期の中では一番の出世頭で、将来の社長候補とまで言われているらしい。


また、容姿も申し分なく奥さんとは高校生時代から付き合っていて、そのまま結婚したという絵に描いたような好青年だった。


奥さんも容姿端麗でSNSを見ていても、多くの人から愛されていることが分かった。おそらく、性格も良いのだろう。コメントも好意的なものしかなく、誰からも恨まれるような事はしてきたことが無さそうだった。


旦那とのツーショットも愛に溢れたものばかりで、高校生時代からの付き合いが二人の絆の強さを証明していた。


「社長、今回の依頼は少し面倒そうですね。」


「まぁ、多少は骨が折れるだろうけど。それでも、この二人が別れて依頼人の胸に奥さんが飛び込むという未来は変わらない。」


「さすが依頼成功率100%ですね。」


「探偵ってのは失敗が許されない商売だからな。一度の失敗で信頼はガタ落ちだ。一度失った信頼を取り戻すには、多くの金と時間を失っちまうから、俺だって必死だよ。」


「社長も必死になることあるんですね。冷徹で常に平常心を保っているサイボーグみたいな人間だと思ってましたよ。」


「俺だって好きな金の為なら必死になるんだよ。


って、こんな無駄話は良いんだよ。ターゲットの事も分かったし、早速、こいつらをハメていくぞ。今回の計画はこれだ。」


そう言って社長は計画書をヒカルに手渡した。


「よくこんなヒドい事をサラッと思いつきますよね。しかも、思いつくだけじゃなくて、実際に行動に移しちゃうんだから、本当に怖い人ですよ、社長は。」


「さっきからうるせーな。とっとと計画を頭の中に叩き込め。」

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