人の恨みは金になる
乃木希生
略奪愛1
「部下の奥さんに惚れてしまったんです。どんな手を使ってでも手に入れたいんです。」
「略奪愛の依頼ですか。奥さんを略奪する場合は、料金として前金200万円、成功報酬300万円の合計500万円になりますが、依頼されますか?」
「500万円ですか。結構、高いんですね。」
「高いと思うか安いと思うかは、依頼人さんの相手に対する想いの熱量によると思いますがね。我々は、どんな依頼人に対しても決めた料金でサービスを提供するだけなので。」
「ちなみに期間はどれくらい掛かりますか?私としては1日でも早く手に入れたいんです。」
「そうですね。最短でも半年はいただきます。別れさせるだけで、あとはあなただけの力で手に入れる自信があるなら、1ヶ月で離婚させることはできます。ただ、そのあとに女性があなたに振り向くかどうかは分からないので、あなたの目的が達成できるかは保証できませんが。それでも良ければ、100万円で依頼を受けます。」
「逆に500万円を払えば、必ず手に入れることが出来るんですね?」
「はい、私はプロですから。絶対にその部下の奥さんをあなたの女にさせてみせますよ。」
「じゃあ、500万円のプランでお願いします。」
「ご依頼ありがとうございます。では、後ほどお送りする口座にまずは、200万円を1週間以内にお振込お願いします。」
「分かりました。」
依頼人が出て行ったあと、秘書兼工作員のヒカルがお茶を片付けてくれた。
「ありがとう。」
「いえ、しかし何で部下の奥さんを手に入れたいんですかね?」
「さぁ、依頼の理由なんてどうでも良い。俺は金さえ手に入ればそれで。」
「相変わらずですね、社長は。私だったら、絶対に依頼する理由が気になっちゃうけどなぁ。」
「ヒカルは人に興味を持つよな。それなのに、よくこんな仕事やってられるな。普通だったら、やってられないってなっちゃうと思うけど。」
「え?そうですか?だって面白いじゃないですか。人がどん底に落とされる瞬間の顔とか
「ヒカルって俺より人間として腐ってると思うわ。」
「人間なんて、全員クソですから。」
「だな。さて、さっきの部下の奥さんを略奪したいっていうクソ野郎はちゃんと金払ってくれるかね?」
「絶対に金払いますよ。あいつもクズ中のクズだから。」
3日後、200万円が振り込まれていることを確認した俺たちは、早速、工作に動き出した。
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