『時限爆弾』

−−本当なら、今すぐにこの場から脱出したい。


しかし、それはできない。


なぜならば、敵は俺の数メートル先に居座り、加えて俺は複数人から監視されているからだ。


奴らは俺の歪んだ顔など見えていないかのように素知らぬ顔をしている。


俺の腹には、時限爆弾がセットされていた。


時間は刻々と過ぎていく。

手は震え、体は悲鳴を上げ続けている。しかし、脱出するいい案も浮かんでこない。


――俺はもうここで死ぬしかないのか。


絶望が心を覆っていく。


−−くそ。


俺は決めた。


もう、無理矢理にでも脱出するしかない。奴らに見抜かれる可能性はあるが、もう時間がない。


爆弾のタイマーはすでに、爆発まで秒読みの状態だ。


ーーもう、限界だ……ッ!


そして、俺が飛び出そうとしたその時。


悲鳴が上がった。


この空間に闖入者が現れたのだ。


俺はその瞬間を逃さなかった。


俺は蜂が飛ぶ教室を飛び出し、トイレへと向かった。

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