クラスの人気者と一緒に登校するようになった。
十四日目 クラスの人気者が後ろから抱きついてきた。
「行ってきます」
眠さを堪えながらあくびを噛み殺し、多少腑抜けた声で誰もいない虚空のような空間に向けて挨拶をした。
「それじゃこの関係がバレないためにも、私は先に行っていますね!」
白華はそう言い残して先に行ってしまった。いってきますと俺に対して挨拶をし、忙しくそして陽気に扉を開けた。
陽気に登校する白華に対して俺は先日の件もあってかかなり学校に行くこと自体が憂鬱だ。白華は昨日、おそらくバレていないとは言っていた。しかし、もし関係性がバレていたらと考えると、どうしても気分は下がる一方だ。
どうあがいても時間は進む。バレたらバレたでどうしようと考えながら重い足取りで数十分かけて登校する。
憂鬱な気分でため息を一つつき、教室へと入る。すると先に教室の中にいた人々が一斉にこちらを見やる。
『これは噂の人物の――。』『来たぞ...』『......』
すると着実と思い描いていた最悪のパターンが徐々に現実味を帯び始める。
女子からは好奇心を孕んだ目、男子からは殺気を伴う殺しの目。まさに混沌とした空気に俺は寒気を覚えながらも気のせいだ、気のせいだと暗示して重い足取りで前進する。
すると、まるで獲物を得た動物のような足取りで後ろから足音が後ろから―。奇襲だ。
反射的に気づいたものの正体を知る暇もなく、距離が縮まり―――抱きかれた。背中からは熱を帯びた大きな柔らかいもの2つが確認される。それが何なのかは確認するまでもない。そして同時に背中から前へ腕が這い寄ってきた。
「あーかーとーくんっ!」
ここ数日の休みの間によく聞いたその声でそっと囁かれる。相手はどう考えても一人しかいない。
頭はこの状況に混乱している間、襲ってきた犯人が顔を出す。
「私の旦那様です!」
刹那、空間は一瞬として沈黙し、そこは混沌から地獄へ変貌した。
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