第14話 始まり

僕は地下の病室にいた。

隣には、妹が寝ている、もうずっと起きていない。

「はぁ、」

僕は水をくみにベットの隣のパイプ椅子から立ち上がった。

そして僕が蛇口を捻って貴重な水を出してコップに入れていると。

ドアをノックする音が聞こえた。

「私だよ私、入ってもいいかな?」

僕は一瞬、誰?と思ったがその声に聞き覚えがあったので、脳の片隅の方にあった記憶を蘇らせる。

「ああ、委員長ですか、どうぞ」

それは、昔僕のクラスで学級委員長をやっていた女の子だった。

以前も僕がこうして蛇口をひねって水を出している時に話しかけてきたっけ、それが彼女との最初の思い出、なんも変哲もない、学校の思い出。

僕は蛇口を慌てて閉める。

「久しぶりだね、あれからいろんなことがあったけど、こうして生きているのを見ているだけでも私感激だよ〜」

と、彼女は、重い顔をしながらも、いつも通り、あの時のままの状態で話してくれる。

「はい、そうですね、もうあれから三年たちましたからね、、」

と、僕は重い声を隠さず言ってしまう。

「まあ、そうなんだけど私が言いたかったのは、ちがくて、、」

と言ってくる。僕は首を傾けた。

「それは、どういう、、」

僕はさらに首を傾けた。

「まあ、いいや、」

僕はすこし、知りたかったが、あえて聞かなかった。これは、今聞くことでもないし、今聞くのは失礼だ。

「まあ、良かったよ!じゃあ私は他の子に会わなくちゃいけないから!」

と、右手で僕に手を振って病室を出て行った。

「てか、なんでこの場所分かったんだよ、しかも他の子って、一体誰なんだろう、、」

と、僕が呟くと

ドアが勢いよく空いて、そこからひょっこりと顔を出して彼女は、言った

「内緒だよ!まあ、知らない子だよ!」

それ、内緒じゃないじゃんと突っ込みたくなったが言わなかった。

「今度こそ本当にじゃあね!」

と言って彼女は、台風のように去っていった。

彼女がいなくなった病室はまたいつものように暗く重い空気に戻っていた。





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