第11話

僕は素直に、元気がなかった。

朝一番からため息、これほど高校生になってから学校に行きたくないと思ったのは、初めてだった。学校まだ行き始めたばかりなのに不登校になるところだった。

でも僕達高校生は、推薦というもののために、体調が悪かろうが、どれだけ元気が無かろうが行かなければならない。

僕はそういう制度は、大嫌いだ。縛られたくない、でも郷に入れば剛に従えというやつだ。従わなければならない。正直に言って苦痛でしかなかった。


「はぁ」

「どうしたんだよ、朝からそんな元気なさそうにして、俺までなんか元気なくなってくるだろ、、こういう時はきつくても、元気でいることが大切だぜ?」

田中くんが言ってくる。この方は生まれてこのかた、一度も恋をしたことがないという、そんな奴に僕の気持ちがわかってたまるかってんだよほんと。

「まあ、そうだね、元気にしなくちゃね、おぉーー!」

僕は、とりあえず、田中くんに合わせた。

「何だよその棒読み」

自分では気づいてなかったが、田中くんがそういうならそうなのだろう、そこまで僕は、落ち込んでいたのか、別に振られたわけでもないのだから、もっと元気出せよと、自分でも思うのだが、元気が出ないというのが青春というものだ。

「そ、そう?自分では、分かんなかったわ、ははは、自分でも面白いわ、ははは」

「だからそれが棒読みって、ふははは!何だよ、今日どうしたんだよ!ふふ」

田中くんは、全く僕の気持ちなんか知らないような笑い方をするので、少し理不尽にも僕は怒りかかった。

「は、は、は、どうしたんだろね、ふふふ」

「はは、きっしょ!」

と、田中くんは、言った。

なんなんだ?田中くんはあえてそんな僕を傷つけるような事を言ってるのかな?かな?

そしたら僕怒るけれども、まあ、それは、ないだろう全く理由も何も教えてないのだから、でも少しイラッときた。ので、僕は深呼吸を、気づかれないように、しれっとやった。

「は、はそ、そうだね」

そしてまた合わせたのだった。


その日は、田中くんとしか話さなかった。

加崎くんは、今日は、休みらしい、普段休まない加崎くんは、どうして休みなのだろうかと、少し気になりながら帰っていると。

「わ!」

大声で後ろから、飛び出てきたのは

我が妹だった。

「な!?なんで、ここに!」

って、ちょっと近いな、僕の心臓は、鼓動を上げた。

「ん?ここにってもう、家の近くじゃん」

「あ、そ、そうか、ちょっと、考え事しててね、、」

「考え事?なにそれ、ちょっと暇だし、気になるし、ちょっと聞かせてよほら」

と、紬は、首を覗かせて言ってくる。

なんか今日やけに、機嫌良くないか?

「ちょっとね、」

「教えてよ!ねぇ、!誰にも言わないからさー」

また、寄ってくる、それに伴って僕の鼓動はさらに上がり

「で、でも、」

「教えてよー、、ね?」

また近づいてきて、僕の心臓は、限界を迎えた。

「うあああ、またこんどーーーー」

僕は、走って家の中へ逃げ込んだ。

なんて、僕は情けない男なのだろうか、自分で自分に失望する。


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