第5話

「田中くん、加崎くん、宿題見せてもらってもいい?」

「え!?なんで俺が!」

「別にいいよ」

「ありがとう、加崎くん、ノットありがとう田中くん」

「なんだよ!ノットとか、馬鹿にしてんのか?調子にのってんのか?ゴラァ!」

「ふん!でさ、加崎くん、ここの問題どうやってとくの?」

「あ、ここか、ここは、因数分解するんだよ」

「あー、ありがとう、か、さ、きくん!」

「西村おまえ!」

怒ってる怒ってる、田中がおこってる!それから僕は田中くんに、首を固められてしまった。

「ってことがあったんだよ、紬ーお兄ちゃんをいたわってー」

「いたわらないよ、ってかそれお兄ちゃんが悪いんじゃん、なんで宿題やらなかったのさぁ?」

「そ、それは、ちょっと疲れててわすれちゃった?んだよ」

僕は自分の頭をポカっと殴りながらいった。

「ふーん」

「うんうん」

僕は、なんとなくニカっと笑ってみせた

「ちょっと、気持ち悪い」

「え!?」

「で、お兄ちゃん入る部活決めたの?」

な!?妹が僕に入る部活をきいてくるだと!?

「んー、まだ決めてない、入らないとやばいんだよねー」

「なんで?」

紬は、首を傾げながら聞いてくる。妹なのにかわいいと思ってしまう自分がいる。僕は首を振って我にかえる。

「ほら、推薦とかあるじゃんか?僕頭けっこう悪いじゃんか?だから推薦でいかないとやばいんだよねー」

「あー、そういうことね、なら私が教えてあげようか?」

妹がそんな事を言い出すなんて、今まで一度もなかった。そんなに好感度でも上げれるイベントなんてあったか?僕てっきり嫌われてるのかと思っていたから。

「え?教えれるの?」

「多少私、予習とかしてるし、任せてよ!」

「で、いつから?」

紬は、机に身を乗り出して言った。

「今から」


「で、ここどうやって解くの?」

「むむ、ちょっと、わか、いやちょっとまってて」

リビングの扉が閉じた。しゅんかん

僕はこの間に考えを整理しよう、なんでこんなことになっているんだ!普通の兄弟は、こんなふうにするのだろうか!?僕の頭が破裂しそうだ。

ってかなんでそんな急にそんなこといいだしたんだぁ?

頭を整理する、整理する、整理する。

そして結論が出た。

妹だから、普段兄に偉そうにできない、だからこうして、偉そうにして、自己満足しているんだと。

そしてリビングの扉が開いた。

そして紬が入ってきて

「お兄ちゃん、参考書持ってくるついでに、お茶持ってきたよ」

それは、こないだのお茶とはちがい、満タンに入ったお茶だった。



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